2017/06/19

大手ペットショップチェーンのチャリティ活動

この記事を書いた2011年には、まだロサンゼルス市のペットショップの規制条例は成立していませんでしたが、大手ペットショップでの定期的な譲渡会はこのように行われていて、ごくごく普通に受け入れられている状態でした。

PETSMARTとPETCOという二大チェーンが運営するそれぞれのチャリティ団体は譲渡会やシェルターへの寄付の他にも、様々なリサーチ活動も行っています。そこにはもちろん、母体である企業へのメリットや宣伝活動的な意味合いもあるとは思うのですが、本文中にも書いた通り、それで恩恵を受ける犬や猫がいるならOKというのが私の考えです。

そう言えば、本文中で「日本では譲渡活動はペットショップの営業妨害になるという声」と書きましたが、最近はそういうのを耳にする機会が減ったような気がするんですが、どうなのでしょう?6年前に比べると、日本でも譲渡活動が少しずつ広がって根付いてきたかなあ、そうだと嬉しいなと思います。

(以下、dog actually 2011年9月26日掲載記事より)
地元の公営シェルターからペットショップ店内の譲渡会に出席していたトイプードル。推定7〜8歳。

9月の9日~11日、アメリカの2大ペットショップチェーンPETSMARTPETCOの各店舗で一斉に犬や猫の譲渡会が催されました。これは数ヶ月に1度定期的に開催されるナショナルペットアダプションウィークエンドと称されるイベントです。
このイベントはペットフードやペット用品のメーカーがスポンサーになっており、場所を提供するのはペットショップ。そして譲渡対象の犬や猫は地元のシェルターや保護団体から連れて来られます。9月のイベントでは全国のPETSMARTで合計17,833匹の動物が新しい家族に迎え入れられることができました(PETCOの集計は未発表)。
全国のショップで一斉にというのは数ヶ月に1度なのですが、これらのショップではたいてい月に1度は店舗単位で地元のシェルター等と共同でペットの譲渡会が催されています。
PETSMARTを例にとって、大手チェーンのチャリティと商業活動をご紹介いたしましょう。
PETSMARTは、フードやペット用品、魚、爬虫類、小鳥、ハムスターなどを販売する上場企業です。日本のいわゆるホームセンターくらいの大きな店舗のすべてがペットに関するものばかりという様子に、渡米直後の私はその大きさと規模に驚いたものでした。リードをつけていれば犬も歓迎なので、天気の悪い時などは犬の散歩代わりに歩かせてもらうほどです。

店内に設けられたアダプションコーナーで、ボランティアの人と共に新しい家族を待つ犬達。シェルターから連れて来られる犬の数は限りがあるが、このようなイベントがきっかけでシェルターに直接足を運ぶ人も多い。また、このような環境で落ち着いて振る舞えるのは成犬ならではのメリットで、それを多くの人が実際に目にすることができるというのも大切なことだ。

同社は犬・猫の販売は行っておらず、92年から店内にアダプションセンターを開設して、シェルターや保護団体と提携して動物の譲渡活動を行っています。
94年にはPETSMART CharitiesというNPO団体を立ち上げ、ドッグウォーキングやチャリティショー等様々なイベントを催して寄付を募り、提携しているシェルターへの資金援助や自社のチャリティー活動の資金としています。
例えば店舗で買い物をすると、毎回ではありませんがたまにレジ担当の人から「シェルター支援のために1ドル寄付をなさいませんか?」と聞かれることがあります。たいした金額ではありませんから、たいていの人が余分に1ドルを支払って寄付する光景が見られます。
このようなチャリティー活動をすることは、企業のイメージアップ作戦の一環でもあり、また税制上の戦略のひとつでもあります。企業ですから、それぞれの活動が利益を誘導するものであるのは当然のことですし、個人的にはそれはそれで良いのではないかと思います。
どこの州のどこの町にでもある大きなチェーンのペットショップで日常的に動物の里親を募集し、寄付を募っていることで、それらは多くのアメリカ人にとってごく当たり前のこととして定着していると感じます。
また、これらのペットショップの店内では犬のトレーニング教室とグルーミングサロンも常設されています。店内の譲渡会で犬を家族に迎えた人は、これらのサービスの重要な潜在顧客でもあり、店舗に足を運ばせることで、フードや玩具等の購入にもつながるというわけです。

店内のトレーニング教室のコーナー。いつ見ても常に犬と飼い主が5〜6組いるので、利用者はコンスタントにいるようだ。

日本の場合、保健所や保護団体が犬を譲渡することはペットショップに対しての営業妨害になるとか、ペットショップは子犬の販売をしないと商売が成り立たないという声を時折耳にします。
しかし本当にそうでしょうか?ビジネスに関してシビアなアメリカで実現していることが、日本で不可能だとは思えません。
日本の企業の努力と方向転換を可能にするべく、飼い主・消費者の意識も改革していかなくてはなりませんね。

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