2020/11/18

ファーストドッグのチャンプとメイジャー

これを書いている今の時点で大統領選挙からちょうど2週間経っていますが、現大統領は未だ敗北を認めず、実務上の支障が山積みになっています。

まあ、ここではそれはさて置き、4年ぶりにホワイトハウスに犬の姿が戻って来るということで次期ファーストドッグたちが注目を集めています。
アメリカの犬たちというブログタイトルで、このアメリカン中のアメリカンドッグのことを無視するわけには行きません。


バイデン次期大統領の愛犬で次期ファーストドッグとなるのはこの2匹。
手前が先住犬のチャンプで、奥にいるのが2年前に家族に加わったメイジャー。

(photo via Facebook https://www.facebook.com/DrJillBiden/posts/674378179837540 )


オバマ大統領が娘さんたちに「大統領に当選したら犬を迎える」と約束していたのは有名な話ですが、バイデン氏も妻であるジルさんに「当選したら犬を」という約束をしていました。

そしてあの2008年の熱狂の当選の後に迎えられたのが生後3ヶ月だったチャンプです。ちなみにチャンプという名を付けたのはお孫さん。

チャンプはペンシルヴェニアのブリーダーから迎えられたのですが、この時に「どうして保護犬を選ばなかったのか」と非難の声が上がりました。

(個人的にはそういうのは行き過ぎた干渉だと思うし、保護犬のことを多くの人に広めるための邪魔にしかならないと思うんですけれどね)

チャンプはしばしばホワイトハウスを訪れ、副大統領の後ろに控えて思慮深そうな顔で座っていました。

オバマ大統領の愛犬BOとは歳も近いけれど、一緒にいる場面というのは見たことがありません。公開していないだけ(または私が見たことないだけ)で仲良しだったのかもしれないけれど、どうだったんでしょうね。

バイデン氏は子供の頃にもジャーマンシェパードと暮らしていたそうで、この犬種への思い入れが深いそうです。アメリカでは常に人気ベスト5に入る犬種ですしね。

2016年の前回選挙の後の今回の選挙への出馬表明をする前の、まだ時間に余裕のあった時期だった2018年初頭にバイデン氏の娘さんが地元デラウェアの保護団体がジャーマンシェパードの預かりボランティアを募集していると教えてくれたそうです。

何があったのか具体的には知らないのですが、生後8週齢のジャーマンシェパードの子犬6匹が毒物を摂取してしまい、Delaware Humane Association(デラウェア人道協会)に持ち込まれたとのことでした。危険な状態を脱した子犬たちのフォスターファミリーになってくれる家庭が募集されており、バイデン家も名乗りを挙げました。

そして迎えられたのがメイジャー。Major 日本語にすると少佐です。
これは2015年に46歳の若さで亡くなったバイデン氏の息子ボーさんが軍隊に所属していた時の階級です。

メイジャーは数ヶ月をバイデン家の預かりっ子として過ごした後、正式に家族として迎えられました。預かりボランティアが犬に情が移ってアダプトしてしまうことは(多くの場合)愛情とユーモアを込めて「フォスター落伍者」と呼ばれます。2018年にメイジャーがバイデン家の子になった時、あちこちのドッグサイトでこの呼び名が見出しに挙げられていました。

メイジャーはホワイトハウスで暮らす初めての保護犬になることも話題を集めています。
(保護犬というのが保護団体出身という意味では初めてなのですが、60年代JFKの副大統領で後に大統領になったジョンソン大統領は娘さんが拾った雑種犬のユキと暮らしていたので、厳密にはどうなの?という気はします。)

「オバマ家の犬は保護犬じゃなかったっけ?」と思われた方もいるかもしれません。詳しくはこちらを

チャンプは4年ぶりにホワイトハウスに戻り、今回は大統領一家の居住エリアの住民となります。
メイジャーもホワイトハウスの広い芝生の庭や長い廊下を気に入ってくれるといいですね。

こちらはチャンプとメイジャーの紹介から始まって、過去のファーストドッグも登場するニュース映像です。




↑の映像で、チャンプとメイジャーの後に最初に出てくる父ブッシュ大統領の愛犬ミリーはイングリッシュスプリンガースパニエル。
ブッシュ大統領自身も愛犬家でしたが、妻バーバラさんは特にミリーを溺愛しており、後に出版されたホワイトハウスの回顧録のタイトルはMillie's Bookでした。

バーバラさんはミリーに子犬を産ませており、ミリーはホワイトハウスで出産した数少ない犬の1匹です。
このことは当時「大統領一家がこんなことをすると犬の自家繁殖を推奨するような結果になりかねない。無責任ではないか」と物議を醸したそうです。

息子のジョージWブッシュ大統領も大の愛犬家で、ミリーの子犬の1匹は彼の犬になりました。息子ブッシュの愛犬と言えばスコティッシュテリアのミス・ビーズリーとバーニーが有名ですけれどね。

クリントン大統領就任時には犬はいなくて、ソックスという名の黒白ハチワレの猫が一緒でした。その名の通り靴下を履いたように足先の白い猫でした。クリントン一家は二期目の夏にチョコラブのバディを迎えました。
バディは5歳という若さで天国に行ってしまったのですが、一家はその後再びチョコラブを迎えています。

新しく大統領が選ばれるたびに愛犬や愛猫のことが話題になり、歴代大統領のペットについての特集記事なども組まれるので、私も歴代大統領の犬についてはちょっと詳しいです(笑
この記事もほとんど資料なしで書けてしまったくらいです(後で確認はしていますが)

チャンプとメイジャーのことは今後もしっかりとチェックしていくつもりです😉

セカンドファーストドッグ

これは2013年にdog actuallyに書いた記事です。
バイデン次期大統領の愛犬が話題になっているので、この記事も再掲しておきます。

(以下dog actually 2013-08-26 より)


(The White House from Washington, DC, Public domain, via Wikimedia Commons)


セカンド・ファーストドッグ、2頭目のファーストドッグですね。日本のニュースでも報道されていたのでご存知の方も多いかと思いますが、8月19日にオバマ大統領一家に新しい家族が加わったと発表がありました。ホワイトハウスの公式ブログで発表された犬の名前はサニー。先住犬のボーと同じく、ポーチュギーズウォータードッグという犬種です。
上の写真の左にいる胸と前足が白いのがボー、右側の真っ黒なのがサニーです。

2008年の大統領選の折、「当選したら子犬を迎える」とオバマ氏がお嬢さん2人に"公約"したエピソードは有名ですが、無事に当選した後にオバマ大統領は、「セカンドハンドの犬を迎えたい。」と発言しました。セカンドハンド=中古品、つまり保護犬を迎えたいという意味だったのですが、この発言に当時アメリカのみならず、隣国のカナダの動物保護団体までが色めき立ち、「ぜひうちの団体から!」の声が殺到して収集がつかなくなったという背景がありました。
結局、オバマ一家の長年の友人でもあるケネディ上院議員が間に入って、テキサスのブリーダーから迎えられたのがボーでした。ケネディ上院議員の愛犬はボーの同胎犬の一頭です。ボーは一度はある家庭に引き取られたのですが、何か事情があってブリーダーのところに戻って来た犬なので、確かに「セカンドハンドの犬」ではありました。
そんなこともあってか、今回はサニーが実際にホワイトハウスに到着するまで、2頭目の犬を迎えるという話題は出ていませんでした。去年の11月の大統領選で再選を決めた直後のスピーチで大統領は、「マリア、サーシャ、我が家の犬は1頭でいいと思うんだ。」と言って会場を沸かせていましたが、選挙直前の去年の10月には、ミシェル夫人がツイッターで「ボーには他の犬とのふれあいが足りないように思う。何か考えてやらないと」と書いていたので、2頭目計画は秘かに進行していたのかもしれませんね。
さて、ブリーダーや血統まで公式に発表されているボーと違って、サニーの出自についてはそれほど多く語られていません。現在1歳2ヶ月で、ミシガン州で産まれた雌犬ということだけが伝えられています。
このことに関して「今回も純血種の犬を迎えた。どうして大統領一家は保護犬を迎えるという選択をしないのか。」と批判する声も一部で上がっています。Humane Society of the United States(米国動物愛護協会)の代表ウェイン・パーセル氏も自身のブログで、保護犬を迎えることを考えて欲しかったと述べています。純血種の犬種別レスキューも多く存在しますから、純血種を迎えたからと言ってそれが保護犬ではないとは一概に言えないですし、サニーの1歳2ヶ月という年齢を考えても、何らかの形でレスキューされた犬である可能性もあるのでは?と私は勝手に推測しているのですが。
ちなみに、大統領一家はサニーを迎えたことを記念してWashington Humane Society(ワシントン動物愛護協会)に寄付をすることを発表しています。たとえサニーが保護犬ではなかったとしても、こうして国民の目が保護団体やそこで暮らしている動物達に向けられることは大歓迎ですね。
国内外の様々な問題や相変わらずの失業率の高さなどで支持率が低下気味のオバマ大統領ですが、サニーの役目はもちろんそんなこととは関係なく、ボーと楽しく遊ぶことが彼女の目下の一番の任務です。そしてサニーは今のところ、立派に勤めを果たしている様子。


5歳になって、今まで通り元気いっぱいながらも落ち着きが感じられはじめたボーと、名前の通り太陽のような性格だというサニーは、もうすでに仲の良い兄妹として認め合っているようですね。ボーは去勢手術済みなので、オバマ一家が自家繁殖を行うという可能性は全くありません。
最後にひとつ。4年前、ボーがホワイトハウスに来た時にポーチュギーズウォータードッグという珍しい犬種が話題になりましたが、現在もこの犬種は珍しいままで、話題になって町中で見かけるようになったと言う現象は起こっていません。
映画やCMで話題になった犬種が流行するという傾向の強いアメリカですから少し心配していたのですが、杞憂に終わってホッとしているところです。