2017/08/20

犬の胃拡張・胃捻転リスク問題の補足

このブログを書き始めて、今のところの一番の功績は(自分で功績とか言っちゃうのもどうなのよって感じですね。すみません。)6月に書き下ろしでアップした「犬の胃拡張・胃捻転(GDV)リスク要因」の記事ではないかと思います。

何しろPVがじわじわと増え続けて22000を越えるという、dog actually現役時代並みの数字を出しております。

さて、様々なリスク要因を挙げた中で、一番反響が大きかったのが「フードの器を台の上に乗せて食べさせるのはGDVのリスクを高くする」というものです。

「器を高い位置にすることでリスクを低減する」と言われて実行していた方も多いだけに、「えーっ!」と思った方も多いのは尤もだろうなと思います。
そこで、今回はその補足。

アメリカでも「早食いを防止する」「食後の運動を控える」「一度にたくさん食べさせない」などはすんなりと受け入れられているのに比べて、この『器を高くする問題』は熱い議論になりがちなんですよ。

多分、反対のことを教えられ実行していたというのと、フードの器を床に置くと人間の視点では食べにくそうに見えるという2つの点が大きいのではないかと思います。
でも「dog GDV raised bowl」(犬 胃捻転 器 高くする)で検索すると、器の位置を高くすると危険としている情報のほとんどは獣医師や獣医学の研究者が書いたり監修したもので、「器の位置を高くした方が良い!」と主張しているのはほとんどが一般の飼い主によるもの、たまにブリーダーを名乗る人がいるという状態です。

犬の体の構造を落ち着いて考えてみると、床や地面の高さのものを食べる方が自然なことなのはストンと腑に落ちるんですよ。


言葉で書いて説明するとちょっとわかりにくいので、図にしてみました。

まずは器を台の上に置いて高くした場合↓

確かに口と器の位置関係で言えば食べやすそうに見えます、
けれど、この姿勢では犬の食道は曲がった状態で食べ物を胃に送り込むことになります。その際にどうしても空気が余分に入ってしまいますよね。


次に、器を床の上に置いた状態↓


頭を下げた姿勢で食べることで犬の食道は胃に向かってまっすぐの状態になります。

とても脚の長い犬種で床に直置きではどうしても食べにくそうな場合も、この食道がまっすぐになっている状態ということを意識すれば、ごく低い台を使っても良いと思います。
ただ、食べにくいということは早食いの防止=つまりGDVのリスクの低下要因にもなるわけですから、食べにくいことが必ずしも悪いわけではないのです。

野生の狼や狐などは皆、地面の高さで食べているわけですから、体の構造が低い位置から食べるのに適しているのもなるほどですね。

リスク低下要因を全て実行したからと言って、発症を100%予防できるわけではないのは、他の病気と同じですが、わざわざリスクを高くすることは避けたいものです。





0 件のコメント:

コメントを投稿