ジェニーの飼い主のジョージさんは正確には友人のパートナーだった人なんです。この記事から数年後に二人はお別れしてしまって、私たちはジョージさんに会うことがなくなってしまいました。
だからジェニーにも会う機会はもうないので、余計に感慨深い記事でもあります。
愛すべき犬バカでジェニーを溺愛しているジョージさんなので、今もきっと一人と一匹は幸せでいることと思います、
(以下はdog actually 2011年8月1日掲載記事より)
赤茶色のコート、中型サイズ、黒っぽい鼻先のジェニーは、どこからどう見ても由緒正しき立派な雑種犬です。1年半前、シェルターから彼女を引き取った飼い主のジョージさんは、彼女のことを愛情を込めて「Pure Breed Mutt=純血の雑種犬と呼んでいます。 ジェニーを引き取った直後、ジョージさんは彼女のDNA分析のテストを受けてみることにしました。方法は簡単。ペット用品店やペット関連の通信販売サイトなどで検査キットを購入して、綿棒で頬の内側の粘膜を拭って、専用のケースに入れて郵送するだけ。しばらくするとラボから検査結果が立派な証明書になって送り返されて来ます。 さて、ジェニーの検査結果は思わず笑ってしまうほど「純血の雑種犬」の名に相応しいものでした。
これがその結果。
ジョージさんがシェルターに足を運んだ時、ジェニーのようなタイプを連れて帰って来るとは予想をしていませんでした。ジェニーの先代のブラックラブラドールを深く愛していた彼は「できればラブラドールを」と希望しており、シェルターのスタッフは彼に何頭かのラブラドールミックスと称される犬を紹介しました。「アメリカの雑種犬、その血統ランキングは?」の記事にもあった通り、アメリカでよく見かけるのはラブラドールミックスとジャーマンシェパードミックス。シェルターでも最もよく目にするのが、この2犬種の名前です。連れて来られた犬の中の一頭ジェニーを見て、ジョージさんは正直がっかりしたと言います。
「これはラブラドールじゃないよ。」確かにジェニーの姿を見てラブラドールを連想するのはちょっと難しい。 しかもその頃のジェニーは体高40cmほどの中型犬だというのに体重が23kgもあったのです。
しかしシェルターのスタッフからジェニーのストーリーを聞かされたジョージさんは、この犬を連れて帰らずにはいられなくなりました。
ジョージさんはジェニーにとって3番目の飼い主になります。何があったのかはわかりませんが、最初の飼い主はジェニーをシェルターに連れて行きました。そこで2番目の飼い主に出会ったものの、ジェニーを待っていたのは1日12時間の留守番の日々でした。散歩に行くこともなく、その家の裏庭がジェニーの世界の全てでした。そして2番目の飼い主が結婚することになり、婚約者が犬が嫌いだということでジェニーは元居たシェルターに戻されて来てしまったのです。
ジョージさんは「これ以上この犬に"誰も自分と一緒に暮らしたくないんだ"と思わせたくなかったんだよ」と笑います。こうしてジェニーはジョージさんの家族になりました。23kgあった体重は13kgの適性体重になり、今では引き締まったウエストとツヤツヤのコートで広い庭を走り回るジェニー。
「先代のブラックラブは本当にスイートで良い犬だった。ラブラドールという犬種の良いところを全て持っているような犬だったんだ。僕は純血種の犬も大好きだよ。犬種特有の美しさだとか気質だとか、人がそういうものに惹かれる気持ちがよくわかる。でもジェニーのような犬とつき合うのもまた何とも言えず楽しいね。それに犬がくれる愛情は犬種にかかわらず、みんな一緒だからね。」
そう言って笑ったジョージさんの優しい笑顔が印象的でした。