2020/09/02

35犬種の避妊去勢手術ガイドライン5 犬種別P〜Y

カリフォルニア大学デイビス校が発表した犬種別の避妊去勢時期のガイドラインにおいて、リストアップされた35犬種最後のグループP~Yで始まる犬種の具体的な数字です。

毎回書いていますが、統計の中で「ガン」と示されているのは血管肉腫、肥満細胞腫、骨肉腫、リンパ腫のどれかを指します。
関節障害については、股関節形成不全、前十字靭帯断裂、肘関節形成不全のどれかです。
上記のガンと関節障害の他に、乳腺腫瘍(2歳以前の避妊手術で予防効果が高いと言われる)、子宮蓄膿症(避妊手術で完全に予防できる)、尿失禁(避妊手術後に発症する場合がある)についても触れられています。ただしこれらの疾患は10歳以降に顕著に増加するのですが、このデータでは10歳以上の犬がほとんど含まれていないため、データとして限界があると研究者自身が述べています。

また各ガイドライン内で挙げられている疾患の発病率は、この研究対象集団(カリフォルニア大学デイビス校大学病院で診断された犬たち)の中での比率で、犬種全体の疾患の発病率ではないことにご注意ください。


ポメラニアン

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研究対象となったのは計322頭。内訳は未去勢オス84頭、去勢済みオス69頭、未避妊メス65頭、避妊済みメス104頭
  • 避妊去勢の有無に関わらず、関節障害の発病は見られなかった
  • ガンに関しても避妊去勢によるリスク増加は見られなかった
  • 未避妊メスで乳腺腫瘍が1例、子宮蓄膿症は7%に見られた
  • 尿失禁の発生は見られなかった
  • 推奨ガイドラインは、オスメス共に避妊去勢手術と関節障害やガンとの関連は見られないため、避妊去勢手術を受ける場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること

プードル(トイ)

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なんと!アメリカンケネルクラブではトイ、ミニチュア、スタンダードの3つのプードルを全部同じ一つの犬種として登録しているそうです。
しかしこのガイドラインにおいて、小型犬のトイプードルと大型犬のスタンダードプードルを一緒にすることはデータの有効性の上からも疑問なので3種のプードルは個別に扱われています。

研究対象となったのは計238頭。未去勢オス49頭、去勢済みオス53頭、未避妊メス58頭、避妊済みメス78頭

  • 関節障害は未去勢のオスで4%に、未避妊のメスでは0で、避妊去勢手術によるリスクの明らかな増加は見られなかった
  • ガンは未去勢のオスで2%に、未避妊のメスでは0、手術済みのオスメス共にガンの発病は見られなかった
  • 未避妊メスの乳腺腫瘍は1例のみ、子宮蓄膿症と尿失禁はどちらも0だった
  • 推奨ガイドラインは、オスメス共に避妊去勢手術と関節障害やガンとの関連は見られないため、避妊去勢手術を受ける場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること
※下のミニチュアプードルの項目もご覧ください


プードル(ミニチュア)

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日本ではあまり見かけませんが、アメリカでは小さい方のプードルと言えばトイよりもミニチュアの方が多いように思います。
ミニチュアプードルは体高28〜35cm、体重5.4〜9kgくらいとされているので、小型犬と中型犬のギリギリ境界線で小型犬という感じでしょうか。

研究対象となったのは計200頭。内訳は未去勢オス41頭、去勢済みオス60頭、未避妊メス30頭、避妊済みメス69頭

  • オスメス共に避妊去勢していないグループでは関節障害の発病は0だったが1歳未満で去勢されたオスでは前十字靭帯断裂の発病が9%と有意な増加を見せた。避妊済みメスでは関節障害の発病は無かった
  • 未去勢オスのガンの発病率は5%、未避妊メスでは0。避妊去勢済みのガン発病リスクの増加は見られなかった
  • 乳腺腫瘍は2〜8歳の間に避妊手術をしたメスで1例のみ、子宮蓄膿症は未避妊メスの6%で確認、尿失禁は6ヶ月齢未満の避妊手術で1例
  • 推奨ガイドラインは、1歳未満での去勢手術に伴って関節障害の有意な増加が見られたため去勢手術は1歳以降を推奨メスでは避妊手術との関連は見られないため、手術を受ける場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること
※ミニチュアプードルで報告された前十字靭帯断裂ですが、アメリカでは一般的に大型犬または超大型犬の疾患と考えられています。しかし日本ではトイプードルの前十字靭帯断裂はとても一般的なものだとされているので、トイプードルを飼っている方はこの点にご注意ください。
前十字靭帯断裂は遺伝的要因の強い疾患であることが判っていますので、日本においてトイプードルが長期的に超人気犬種であるがゆえの乱繁殖と、疾患の多発は無関係ではないと思われます。


プードル(スタンダード)

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研究対象となったのは計275頭。内訳は未去勢オス47頭、去勢済みオス88頭、未避妊メス53頭、避妊済みメス87頭

  • 未去勢オス、未避妊メス共に2%に関節障害が発病していた。6ヶ月齢未満での去勢では関節障害の増加はあったが“有意”のラインである8%には達しなかった。避妊済みメスでは関節障害の発病は0だった
  • 未去勢オスのガンの発病率は4%、未避妊メスでは2%。1歳時に去勢したオスではガンの発病率が27%に増加し、それらは全てリンパ腫だった。避妊済みのメスではガンの有意な増加は見られなかった。
  • 未避妊メスの乳腺腫瘍の発病は4%、子宮蓄膿症は2%、尿失禁は2歳以降で避妊手術をした1例のみ
  • 推奨されるガイドラインは、去勢に伴うリンパ腫の増加に基づいて、オスの去勢手術は2歳以降を推奨。メスでは避妊手術との関連は見られないため、手術を受ける場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること


パグ

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研究対象となったのは計383頭。内訳は未去勢オス96頭、去勢済みオス106頭、未避妊メス63頭、避妊済みメス118頭

  • 避妊去勢手術による関節障害発病リスクの増加は見られなかった
  • 未去勢オスのガンの発病率は6%、未避妊メスでは8%で、避妊去勢によるガンのリスクの増加は見られなかった
  • 乳腺腫瘍の症例は0で、子宮蓄膿症は未避妊メスの5%に発病、尿失禁は0だった
  • 推奨されるガイドラインは、オスメス共に避妊去勢手術と関節障害やガンとの関連は見られなかったため、手術を希望する場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること
※パグの場合はこの研究対象となっている関節障害とは違いますが、骨格または神経障害から来ると考えられる歩行障害が3匹に1匹という高い割合で見られるという研究も発表されています。その他にも健康上の問題の多い犬種であることは認識しておく必要があります。


ロットワイラー

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ロットワイラーも、ジャーマンシェパードやラブラドールと並んで関節障害が多い犬の定番としてその名が上がります。

研究対象となったのは計849頭。内訳は未去勢オス315頭、去勢済みオス152頭、未避妊メス143頭、避妊済みメス239頭

  • 関節障害は未去勢オスで8%、未避妊メスで16%と既に高い割合で発病しているオス6ヶ月齢未満での去勢では10%、6ヶ月〜1歳未満での去勢では22%と有意に増加していた。メスではさらに顕著で、6ヶ月齢未満の避妊手術では43%の発病率となった。関節障害の主なものは前十字靭帯断裂だった
  • ガンは未去勢のオスで16%、未避妊のメスで11%と比較的高い発病率を示しているが、避妊去勢手術による増加は見られなかった
  • 未避妊メスの乳腺腫瘍は8%、2〜8歳で避妊手術で5%の発病率を示した。未避妊メスの子宮蓄膿症は12%、尿失禁は6ヶ月齢未満の避妊で4%、6ヶ月〜1歳未満の避妊手術では6%だった
  • 推奨されるガイドラインは、オスでは1歳未満の去勢手術による関節障害リスクのため1歳以降の手術、メスでは同じく関節障害リスクのため6ヶ月齢以降を推奨(乳腺腫瘍、子宮蓄膿症も比較的高い数字であることを考慮しても良さそうです。)

セントバーナード

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セントバーナードも超大型犬種として研究対象に選ばれましたが、サンプル数は少なく、研究対象となったのは計94頭、未去勢オス26頭、去勢済みオス27頭、未避妊メス18頭、避妊済みメス23頭

  • 関節障害は未去勢オスで8%、未避妊メスで6%。オスでは去勢手術による関節障害のリスク増加は見られなかったが、6ヶ月齢未満での避妊手術をしたメスでは関節障害は100%発病していた(100%という数字はサンプル数の少なさによるところが大きい。具体的には避妊済みメス23頭のうち、6ヶ月齢未満で手術を受けたのは4頭。)
  • ガンは未去勢オスで4%、未避妊メスで11%だが、避妊去勢による顕著な増加はなかった
  • 乳腺腫瘍の発生は0で、子宮蓄膿症は15%、尿失禁は0だった(子宮蓄膿症に関しては15%という数字は高めに見えるが、サンプル数が少ないため実際には3例です。)
  • 推奨されるガイドラインは、オスではガンや関節障害と去勢の関連は見られず、メスでは6ヶ月齢未満で関節障害のリスクが高くなっているが、超大型犬は骨格や筋肉の発達がゆっくりなので、オスメス共に1歳以降が望ましい

シェトランドシープドッグ

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研究対象となったのは計133頭。内訳は未去勢オス31頭、去勢済みオス30頭、未避妊メス20頭、避妊済みメス52頭

  • 関節障害は未去勢オスでは0、未避妊メスで1例、去勢済みオスでは6ヶ月齢未満での手術の1例、避妊済みメスでは0
  • ガンは未去勢オスでは6%、未避妊メスでは0。避妊去勢手術によるリスクの増加は見られなかった
  • 乳腺腫瘍の発病は0、子宮蓄膿症は14%で確認、尿失禁は1歳時の避妊手術では33%で発病していた(この犬種も研究対象となったサンプル数が少ないことは考慮に入れておいた方が良いと思います。)
  • 推奨されるガイドラインは、オスでは関節障害やがんの顕著な増加は見られないため獣医師と相談の上で適切な時期を決定、メスでは尿失禁を回避するために2歳以降の手術を検討

シーズー

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小型犬の中では例外的に避妊手術の影響が認められた犬種です。
研究対象となったのは計432頭。内訳は未去勢オス104頭、去勢済みオス112頭、未避妊メス77頭、避妊済みメス139頭


  • 避妊去勢の有無、性別に関わらず、関節障害の発病は無かった
  • ガンは未去勢オス、未避妊メス、去勢済みオスでは0。6ヶ月例〜1歳未満で手術をしたメスでは7%、1歳時の避妊手術では18%に達した
  • 乳腺腫瘍は未避妊メスの3%、子宮蓄膿症は5%、尿失禁は0だった
  • 推奨されるガイドラインは、オスでは獣医師と相談の上で適切な時期を決定。メスではガンリスクの増加を受けて、2歳以降または6ヶ月齢に達する1〜2ヶ月前の避妊手術を推奨

ウエストハイランドホワイトテリア

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研究対象となったのは計142頭。内訳は未去勢オス35頭、去勢済みオス33頭、未避妊メス28頭、避妊済みメス46頭

  • 未去勢オスで1例の関節障害が確認されたが、去勢済みオス、未避妊メス、避妊済みメスのいずれも関節障害の発病は0だった
  • ガンもいずれのグループも発病が確認されなかった
  • 乳腺腫瘍の発生は0、子宮蓄膿症は未避妊メスの7%、尿失禁は6ヶ月齢未満の避妊では14%、6ヶ月齢〜1歳未満の手術では6%で見られた
  • 推奨されるガイドラインは、オスでは獣医師と相談の上で適切な時期を決定。メスでは尿失禁のリスクを回避するため1歳以降の避妊手術を検討


ヨークシャーテリア

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研究対象となったのは計685頭。内訳は未去勢オス134頭、去勢済みオス178頭、未避妊メス144頭、避妊済みメス229頭

  • 関節障害は未処置のオスメスで1%、避妊去勢手術による顕著な増加はなかった
  • ガンについても未処置のオスメスで1%、避妊去勢手術による顕著な増加はなかった
  • 乳腺腫瘍は未避妊メスで1%、2〜8歳時の避妊手術で1%。子宮蓄膿症は7%で確認。尿失禁は0だった
  • 推奨されるガイドラインは、関節障害やガンと避妊去勢手術の関連が見られないので獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること

35犬種のガイドラインとしてリストアップされた犬種は以上です。
この後引き続き同研究者チームによる、ミックス犬体重別避妊去勢のガイドラインをアップして行きます。





《参考URL》

Assisting Decision-Making of Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs:Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.00388/full





2020/08/26

35犬種の避妊去勢手術ガイドライン4 犬種別G〜M

 UCデイビス校獣医学部が発表した犬種別の避妊去勢時期のガイドラインにおいて、リストアップされた35犬種のアルファベットG〜Mで始まる犬種の具体的な数字です
このガイドラインについては、いくつかに分けてブログをアップしていますが今回のG〜M にはこの研究の元祖となった避妊去勢の影響が顕著に現れる人気犬種ジャーマンシェパードやゴールデンレトリーバー が含まれています。
人気犬種であるためにいい加減な繁殖が蔓延していることも影響しているかもしれないですね。

統計の中でのガンは血管肉腫、肥満細胞腫、骨肉腫、リンパ腫のどれかを指します。
また関節障害は股関節形成不全、前十字靭帯断裂、肘関節形成不全のどれかです。

上記のガンと関節障害の他に、乳腺腫瘍(2歳以前の避妊手術で予防効果が高いと言われる)、子宮蓄膿症(避妊手術で完全に予防できる)、尿失禁(避妊手術後に発症する場合がある)についても触れられています。ただしこれらの疾患は10歳以降に顕著に増加するのですが、このデータでは10歳以上の犬がほとんど含まれていないため、データとして限界があると研究者自身が述べています。

また各ガイドライン内で挙げられている疾患の発病率は、この研究対象集団(カリフォルニア大学デイビス校大学病院で診断された犬たち)の中での比率で、犬種全体の疾患の発病率ではないことにご注意ください。


ジャーマンシェパード

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ジャーマンシェパードは関節の疾患の多い犬種として知られていますが関連する遺伝子の研究も進んで来ています。
極端に傾斜した背中のラインを作り出す選択繁殖も、欧州では止めようという働きかけが始まっていますので、GSの未来に期待したいと思います。

研究対象となったのは1,257頭で、内訳は未去勢のオス514頭、去勢済みオス272頭、未避妊のメス173頭、避妊済みメス298頭

  • 未去勢のオスの関節障害発病率は6%、未避妊のメスでは5%
  • オスの関節障害は6ヶ月齢未満去勢で19%、6ヶ月〜1歳未満で18%、1〜2歳未満では9%に増加。メス6ヶ月齢未満避妊手術では20%、6ヶ月〜1歳未満で15%に増加
  • オスメス共に、避妊去勢手術はガンのリスク増加とは関連していなかった
  • 未避妊のメスの乳腺腫瘍発病率は5%で、2〜8歳の避妊手術では6%
  • 未避妊のメスの子宮蓄膿症は3%、尿失禁は6ヶ月未満で避妊手術したメスの9%
  • 推奨されるガイドラインは、オスの去勢は関節障害を考慮して2歳以降、メスは関節障害と尿失禁を考慮して2歳以降とする


ゴールデンレトリーバー 

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世界中で愛される超人気犬種ですが、様々な種類のガンの発症率の高さでよく知られています。
GRのガンに特化した研究も多く行われているので、いつの日かこの悲しい特徴が無くなって欲しいものです。

研究対象となったのは1,247頭、未去勢のオス318頭、去勢済みオス365頭、未避妊メス190頭、避妊済みメス374頭

  • 未去勢のオスの関節障害発病率は5%、未避妊のメスでは4%
  • オスの関節障害は6ヶ月齢未満の去勢では25%、6ヶ月〜1歳未満では11%と有意に増加。メスでは6ヶ月齢未満では18%、6ヶ月〜1歳未満では11%と増加した
  • ガンについてはオスは未去勢でも発病率が15%と高く、6ヶ月齢未満の去勢では19%、6ヶ月〜1歳未満では16%とやや増加した
  • 未避妊のメスのガンの発生率は5%だが、避妊手術時6ヶ月齢未満では11%、6ヶ月〜1歳未満では17%、1歳で14%、2〜8歳では14%と避妊手術の時期がいつであっても有意に増加していた
  • 未避妊のメスの乳腺腫瘍発病率は1%、2〜8歳で手術した場合は4%
  • 未避妊のメスの子宮蓄膿症発病率は4%、尿失禁は報告されていない
  • 推奨されるガイドラインは、オスでは関節障害やガンのリスク増加に基づいて去勢手術は1歳以降、メスの場合は全ての避妊年齢でのガンリスク増加に基づいて避妊手術をしない、または1歳で手術してガンに対する警戒を続けることを推奨


    グレートデーン

    Image by Capri23auto from Pixabay 


    関節疾患のリスクが高いと思われる超大型犬種ですが、ちょっと意外な結果が出ています。

    研究対象となったのは353頭、未去勢のオス90頭、去勢済みオス103頭、未避妊メス69頭、避妊済みメス91頭

    • 関節障害は未去勢オスで1%、未避妊メスで2%と低く、避妊去勢手術とリスク増加の関連も見られなかった
    • 未去勢オスのガンの発病率は6%、未避妊メスでは3%。どちらも避妊去勢手術とリスク増加の関連は見られなかった
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍発病率は2%で、子宮蓄膿症は6%で診断された。尿失禁は報告されていない
    • 推奨されるガイドラインは、避妊去勢とガンや関節障害との関連は見られないが、体のサイズが大きいため筋骨格系の発達が遅いという生理学を考慮すると、避妊去勢手術は1歳以降が望ましい

    アイリッシュウルフハウンド

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    グレートデーンと並ぶ超大型犬種の代表。
    アメリカでは飼育数が少なく、サンプル数がかなり少ないのですが、超大型犬種の分析のために選ばれました。

    研究対象となったのは86頭で、未去勢オス30頭、去勢済みオス19頭、未避妊メス21頭、避妊済みメス16頭
    • 関節障害は未去勢オスで7%、未避妊メスでは0、避妊去勢手術済みの個体では関節障害は見られなかった
    • 未去勢オスのガンの発病率は8%、未避妊のメスでは21%と高い数字が見られた。1歳時に去勢したオスではガンの発病率は25%に増加、避妊済みメスではガンの増加は見られなかった
    • 乳腺腫瘍の発生は0で、子宮蓄膿症は5%で診断された。尿失禁は報告されていない
    • 推奨されるガイドラインは、オスの去勢手術ではガンの発生を考慮して2歳以降を、メスではガンや関節障害との関連は見られないが、体のサイズが大きいため筋骨格系の発達が遅いという生理学を考慮すると、避妊手術は1歳以降が望ましい


    ジャックラッセルテリア

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    研究対象となったのは全部で376頭。内訳は未去勢オス92糖、去勢済みオス87頭、未避妊メス84頭、避妊済みメス113頭。

    • 関節障害は未去勢オスでは0、未避妊メスで2%と低く、避妊去勢手術との関連も見られなかった
    • ガン発病も未去勢オスで3%、未避妊メスでは0で、手術との関連は見られなかった
    • 未避妊メスでは乳腺腫瘍と子宮蓄膿症の発病率はそれぞれ1%。2〜8歳の避妊手術では乳腺腫瘍が3%で診断された。尿失禁は診断されなかった
    • 推奨ガイドラインは、オスメス共に避妊去勢手術と関節障害やガンとの関連は見られないため、避妊去勢手術を受ける場合は獣医師と相談の上で適切な時期を決定すること

    ラブラドールレトリーバー

    Image by DesignerColeman from Pixabay 

    ゴールデンレトリーバー と並ぶ超人気犬種ですが、ラブラドールも関節障害が宿命のように思われている節があります。しかしイギリスでは関節障害を持つ犬のスクリーニングをしっかりと行い繁殖の管理に適用した結果、関節障害を持つ犬の数が減少しているというリサーチ結果が報告されています。股関節形成不全などの関節障害は決して避けられない運命ではないことが明らかになって来ています。

    研究対象となったのは1,933頭、内訳は未去勢オス714頭、去勢済みオス381頭、未避妊メス400頭、避妊済みメス438頭

    • 未去勢のオス、未避妊のメス共に関節障害があったのは6%。6ヶ月齢未満で去勢したオスでは13%に増加し、6ヶ月未満で避妊手術をしたメスでは11%、6ヶ月〜1歳未満では12%に増加した。
    • 未去勢のオスのガンの発病率は8%、未避妊のメスでは6%で、避妊去勢手術はリスク増加に関連していなかった
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は1%、2〜8歳で手術した場合は2%だった
    • 未避妊メスの子宮蓄膿症は2%、尿失禁は避妊済みメスの2〜3%で報告された
    • 推奨ガイドラインは、関節障害の増加を考慮してオスの去勢は6ヶ月齢以降、メスの避妊手術は1歳以降とする


    マルチーズ

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    研究対象となったのは272頭、内訳は未去勢オス49頭、去勢済みオス72頭、未避妊メス65頭、避妊済みメス86頭。

    • 避妊去勢の状態に関わらず、関節障害の発生は0だった
    • ガンも未避妊のメスで1例のみで、他では報告がなかった
    • 乳腺腫瘍は2〜8歳で避妊手術を受けたうちの1匹のみ、子宮蓄膿症、尿失禁は発生しなかった
    • 推奨ガイドラインは、避妊去勢をする場合は獣医師と相談して適切な時期を決定する


    ミニチュアシュナウザー
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    研究対象となったのは231頭、内訳は未去勢オス47頭、去勢済みオス63頭、未避妊メス25頭、避妊済みメス96頭。


    • 避妊去勢の状態に関わらず、関節障害の発生は0だった
    • ガンの発病率は未去勢オスで4%、未避妊のメスでは0。避妊去勢手術によるリスク増加は見られなかった
    • 乳腺腫瘍の発病は0、子宮蓄膿症は4%、尿失禁は発生しなかった
    • 推奨ガイドラインは、避妊去勢をする場合は獣医師と相談して適切な時期を決定する


    《参考URL》
    Assisting Decision-Making of Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs:Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence.
    https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.00388/full


    2020/08/19

    35犬種の避妊去勢手術ガイドライン3 犬種別C〜E



    UCデイビス校獣医学部が発表した犬種別の避妊去勢時期のガイドラインにおいて、リストアップされた35犬種のアルファベットCEで始まる犬種の具体的な数字です

    繰り返しになりますが、ここで言うガンは血管肉腫、肥満細胞腫、骨肉腫、リンパ腫のどれかを指します。
    また関節障害は股関節形成不全、前十字靭帯断裂、肘関節形成不全のどれかです。

    上記のガンと関節障害の他に、乳腺腫瘍(2歳以前の避妊手術で予防効果が高いと言われる)、子宮蓄膿症(避妊手術で完全に予防できる)、尿失禁(避妊手術後に発症する場合がある)についても触れられています。ただしこれらの疾患は10歳以降に顕著に増加するのですが、このデータでは10歳以上の犬がほとんど含まれていないため、データとして限界があると研究者自身が述べています。

    また各ガイドライン内で挙げられている疾患の発病率は、この研究対象集団(カリフォルニア大学デイビス校大学病院で診断された犬たち)の中での比率で、犬種全体の疾患の発病率ではないことにご注意ください。

    キャバリアキングチャールズスパニエル

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    研究対象となったのは286頭、内訳は未去勢のオス51頭、去勢済みのオス72頭、未避妊のメス87頭、避妊済みのメス76頭
    • オス、メス共に避妊去勢手術は関節障害の増加と関連していなかっ
    • オス、メス共に避妊去勢手術はガンの増加と関連していなかっ
    • 未避妊のメスで乳腺腫瘍を発病した個体はいなかっ
    • 未避妊のメスで子宮蓄膿症の発病率は2
    • 避妊手術後の尿失禁の発生は見られなかっ
    • この犬種では避妊去勢手術と関節障害およびガンとの関連が見られないため、手術を受ける場合は獣医師と相談して個別に時期を決定することを推


    チワワ


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    研究対象となったのは1,037頭、内訳は未去勢のオス261頭去勢済みのオス189頭、未避妊のメス298頭、避妊済みのメス289頭


    • オス、メス共に避妊去勢手術の有無に関わらず関節障害の顕著な発病はなかった
    • オス、メス共に避妊去勢手術の有無に関わらずガンの発病率は5%未満だった
    • 未避妊のメスで乳腺腫瘍を発病したのは1%、2〜8歳の間に避妊手術をした場合では4%
    • 未避妊のメスで子宮蓄膿症の発病率は2
    • 避妊手術後の尿失禁の発生は見られなかっ
    • この犬種では避妊去勢手術と関節障害およびガンとの関連が見られないため、手術を受ける場合は獣医師と相談して個別に時期を決定することを推


    コッカースパニエル


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    研究対象となったのは371頭、内訳は未去勢のオス71頭、去勢済みのオス112頭、未避妊のメス61頭、避妊済みのメス127頭
    • オス、メス共に避妊去勢未処置の場合、関節障害の発病は13%。6ヶ月齢未満で去勢手術をしたオスでは関節障害の発病が11%と有意に増加し
    • メスでは避妊手術と関節障害の関連は見られなかっ
    • オスでは去勢手術とガンの増加に関連は見られなかっ
    • 未避妊のメスではガンの発病は見られなかったが、2歳未満で避妊手術をした場合、肥満細胞腫の発病率が17%と大幅に増加し
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は11%、子宮蓄膿症は5
    • 避妊手術後の尿失禁の発生は見られなかっ
    • 推奨されるガイドラインは、オスの去勢手術は生後6ヶ月以降、メスの避妊手術は2歳以降。(未避妊の場合の乳腺腫瘍の発病率の高さにも注意


    コリー

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    オリジナルの論文に、単にCollieとしか書かれていないのでラフコリーのことであろうと推測します。この辺り、ちょっと大雑把ですね。前回書いたブルドッグもイングリッシュブルドッグだろうと推測しますが、ちょっと引っかかりますね。

    研究対象となったのは116頭、内訳は未去勢のオス29頭、去勢済みのオス26頭、未避妊のメス24頭、避妊済みのメス37頭。サンプルサイズはかなり小さいです
    • 未去勢のオスの関節障害の発病率は7%だが、オスメス共に避妊去勢は関節障害の増加には関連していな
    • 未去勢のオスのガンの発病率は11%だが、去勢はガンの増加には関連していな
    • 未避妊のメスではガンの発病は見られなかったが、6ヶ月未満で避妊手術をした場合、40%に増加し
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は4%、子宮蓄膿症の発病率は16
    • 1歳未満で避妊手術を受けたメスの13%に尿失禁が見られ
    • 推奨されるガイドラインは、オスの場合は獣医師と相談の上個別に決定、メスの避妊手術はガンと尿失禁を考慮して1歳以降とす


    コーギー(ペンブローク、カーディガン)


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    ペンブロークとカーディガンという2つの違う犬種ですが、その違いはわずかなサイズの差だけなので、統計分析のため2犬種を合わせたデータが表示されています。
    研究対象となったのは240頭、内訳は未去勢のオス42頭、去勢済みのオス78頭、未避妊のメス50頭、避妊済みのメス70頭

    • 未去勢のオスの関節障害の発病率は5%、未避妊のメスでは6%だが、オスメス共に避妊去勢は関節障害の有意な増加には関連していない
    • コーギーは椎間板障害が懸念される犬種のひとつで、未去勢のオスの椎間板障害の発病率は3%、未避妊のメスでは8%
    • 6ヶ月齢以前に去勢手術を受けたオスでは、椎間板障害の発生率は18%に増加した。メスの避妊手術は椎間板障害の増加に関連が見られなかった
    • 未去勢のオスのガン発病率は5%、未避妊のメスでは6%
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は8%、子宮蓄膿症は0、避妊手術後の尿失禁の発生は0
    • 推奨されるガイドラインは、オスの去勢手術は椎間板障害との関連から6ヶ月齢以降、メスの場合は獣医師と相談の上で個別に時期を決定する


    ダックスフンド

    Image by ArtTower from Pixabay  


    アメリカでの研究なので、このダックスフンドはアメリカで主流のスタンダードダックスフンドだと推測します
    研究対象となったのは658頭、内訳は未去勢のオス177頭、去勢済みのオス170頭、未避妊のメス99頭、避妊済みのメス212頭
    • 避妊去勢処置の有無に関わらず、オスメスともに関節障害は見られなかっ
    • ダックスフンドも椎間板障害が懸念される犬種のひとつで、このサンプルでは未去勢のオスの53%、未避妊のメスの38%が椎間板障害と診断された。避妊去勢手術による増加は見られなかっ
    • 避妊去勢未処置の場合オスメス共にガン発病率は1%未満。避妊去勢によるガンのリスク上昇は見られなかっ
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は1%、子宮蓄膿症の発病率は4%、避妊手術後の尿失禁の発生は0
    • この犬種では避妊去勢手術と関節障害およびガンとの関連が見られないため、手術を受ける場合は獣医師と相談して個別に時期を決定することを推


      ドーベルマンピンシャー

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    研究対象となったのは358頭、内訳は未去勢のオス109頭、去勢済みのオス91頭、未避妊のメス53頭、避妊済みのメス108頭
    • 未去勢のオスの関節障害の発病率は2%、未避妊のメスでは見られなかっ
    • 去勢手術後のオスでは関節障害の明らかな増加はなかったが、1歳未満で避妊手術をしたメスでは「有意に増えた」と言うレベルには達していないが11%に増加した
    • 未去勢のオスのガンの発病率は2%、1歳時に去勢手術をした場合には6%に、2〜8歳の間に手術をした場合には13%と有意な増加を示した
    • 未避妊のメスのガンの発病率は2%で、避妊手術によるガンの増加は見られなかった
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発病率は2%、28歳での避妊手術では4
    • 未避妊のメスの子宮蓄膿症の発病率は7%
    • 尿失禁は6ヶ月齢未満での避妊手術では25%に、1〜2歳の間の手術では19%に見られた
    • 推奨されるガイドラインは、オスの場合はやや変則的で1歳までに去勢手術をするか、または全く手術をしないかを推奨。メスの避妊手術は尿失禁を考慮して2歳以降を推


    イングリッシュスプリンガースパニエル

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    研究対象となったのは212頭、内訳は未去勢のオス52頭、去勢済みのオス57頭、未避妊のメス37頭、避妊済みのメス66頭
    • 未去勢のオスの関節障害の発病率は5%、未避妊のメス8%で、避妊去勢手術によるリスクの増加は見られなかっ
    • オスメスともに避妊去勢していない場合のガンの発病率は6%で、避妊手術によるリスクの増加は見られなかっ
    • 未避妊のメスの乳腺腫瘍の発生率は6%、28歳で避妊手術をした場合は15
    • 未避妊のメスで子宮蓄膿症と診断された個体は0
    • 1歳未満で避妊手術をした場合尿失禁の発生率は13、サンプルサイズがもっと大きくなるとさらに顕著になる可能性があ
    • 推奨されるガイドラインは、オスの去勢手術は獣医師と相談して個別に時期を決定することを推奨、メスの避妊手術は尿失禁を考慮して1歳以降を推



    《参考URL》
    Assisting Decision-Making of Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs:Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence.
    https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.00388/full

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