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2021/03/23

ファーストドッグ の報道から学ぶこと

前回書き下ろした記事がバイデン大統領の犬たちのことで、今回もまたメイジャーとチャンプのことです。

そんなにファーストドッグ が好きなのか?と聞かれれば、好きです😉
特に13歳のジャーマンシェパードであるご長寿チャンプは私の個人的「推し」の犬の一頭です。


メイジャー事件の真相

さて、今回の話題はチャンプではなくメイジャーが主役です。上の写真の右側の若くて黒いジャーマンシェパードです。

3月の上旬に「大統領の犬メイジャーがシークレットサービスのエージェントに攻撃的に咬みつき、ホワイトハウスからデラウェアのバイデン家に送り返された」という報道がありました。
ええっ!と驚いたのですが、続報を聞くと大したことは無さそうな感じで、翌日ワシントンポスト紙に詳細が報道されました。

噛まれた(咬むじゃない。英語でいえばbiteではなくnip)のはホワイトハウスに新しく配置されたシークレットサービスのエージェント。ドアを開けたら知らない男性が立っていたのに驚いたメイジャーがエージェント氏の手を軽く噛んでしまった。医療ユニットが処置をし、皮膚が少し赤くなっていたが歯も刺さっていないし出血もないとのことでした。

後日、バイデン大統領就任後初のテレビでのロングインタビューでは最後の質問として「ところでメイジャーはホワイトハウスから離れています?」と聞かれていました。インタビュアーは犬小屋と言っているけれど、これはホワイトハウスのこと。

メイジャーとチャンプがホワイトハウスから追放されたという報道を受けてのことです。

動画では4:00のあたりからです。 


大統領は 「答えはYes。ほら、メイジャーは保護犬だったんだ。誰かを咬んだり牙を立てたりはしてないよ。今回のことは彼らの住まいとしてのホワイトハウスそのものが原因じゃないかと思う。何しろドアを開けるたびに黒いジャケットを着た男がそこにいるんだからね。」

ホワイトハウスを離れてデラウェアの自宅にいるのは、追放されたのではなくて大統領とファーストレディーがどちらも公務でしばらくホワイトハウスを離れるためで、メイジャーがトレーニングを受けていることも言及しています。


トレーニング以前に必要なこと


大統領の愛犬が誰かを噛んだ事件は以前にも数件あり、最近ではジョージWブッシュ大統領のスコティッシュテリアのバーニーがリポーターの手に怪我を負わせたことがありました。
これはリードを付けて散歩していたバーニーにリポーターが近づき、バーニーが「来るな!こっち来るな!」と全身で警告していたのを完全に無視して(と言うか、多分撫でたら仲良くなれるくらいに思っていた)頭を撫でようとしたからで、あれで犬が責められたら理不尽過ぎるというものでした。

小型犬のバーニーと違ってジャーマンシェパードのメイジャーは「噛んだ」という言葉のインパクトも大きくなります。理不尽だけどね。


メイジャーの報道を受けて、SNS上には膨大な数のリプやコメントが寄せられていましたが、目についたのは「メイジャーは訓練所に預けたほうがいい」というもの。

どうして犬のトレーニングというと「預ける」という発想が増えるんでしょうね。そもそも犬が噛む(または咬む)理由のほとんどは何か脅威を感じたから防御するためです。違う場所で訓練しても、いつも居る場所に原因があれば意味がないのにね。

ドッグトレーナーのヴィクトリア・スティルウェル氏はメイジャーの件について「トレーニングではなくて環境を整えることが重要」と述べています。

ホワイトハウスというあまりにも特異な環境に連れて来られて、飼い主は今までのようにいつも一緒にいることができない、知らない人が入れ替わり立ち替わりやって来る。2歳の犬が混乱してしまうのも無理はありません。

ヴィクトリアは、犬たちが過ごす環境を制限して(多分、エリアを決めて人間がそこに立ち入る際のルールを明確にするということ)犬にとって予測不能なことが極力起こらないようにすることを勧めています。

大統領自身が「ホワイトハウスそのものが原因だと思う」と述べているので、きっと適切な対策が取られることでしょう。

犬にトレーニングは必要ですが、それは犬の行動を押さえつけるためではなく、犬と人間双方が快適に暮らせるためのコミュニケーションを学ぶためです。
トレーニングは重要なツールではあるけれど万能ではない。トレーニングをすれば全ての問題が解決するわけではありません。

ヴィクトリアが言っている「トレーニング以前の問題として環境を整える」というのはホワイトハウスという特殊な環境だけでなく、全ての飼い主が心に留めておきたいことです。

犬が吠えてばかりいて困ると言いながら、道行く人が常に見える窓の側を犬の居場所にしているなどは典型的な「トレーニングの前に環境を」の例です。

アメリカ大統領の犬の生活からも、私たちが考えて参考にできることがたくさんあるという一例です。犬の行動の基礎をしっかり勉強して(ここ大事!)色々な事例と照らし合わせて「どうしてこんな行動をしたのだろう?」と推理するのは実益を兼ね備えた楽しい趣味になり得ますよ。





2020/12/22

意外な部分のカルチャーギャップ

ニコの遺灰を受け取って「そう言えばdog actuallyにペットの火葬の話を書いたことがあったなあ」と思い出していました。

5年前に書いたのと同じように、日本の火葬が羨ましい気持ちは今もあるのですが、アメリカのやり方でニコがきちんとケアしてもらったことで「全部をあるがままに受け入れる」という気持ちになっています。まさに記事の中で「うらやましい半面」として書いている通り。
自分のことは意外と良く分かっていたみたいで苦笑いです、


(Image by GeorgeB2 from Pixabay  )

以下dog actually 2015年8月5日掲載記事より)

ちょっと変な話題なのですが、よかったらお付き合いください。
アメリカに住んで犬と暮らしていると、公園やドッグパークが広いことなど恵まれた環境だなと思うことはあるのですが、私にとっては日本でペットと暮らしている皆さんが羨ましく仕方のないことがひとつ有ります。それは何かと言いますと『ペットの火葬』
日本の友人が愛犬を見送った時の話などを聞くと「焼きあがったお骨に黒くなった部分があって"ここが悪かったんですね"と斎場の人に説明してもらったよ。」とか「拾い上げる時に骨まで愛おしいと思ったんだ。」と言います。
ここアメリカでも亡くなったペットを火葬にすることは一般的なのですが、骨はサラサラの砂のような灰になりますし、遺骨を自らの手で壺に収めるというような習慣もありません。
祖父母をはじめとして近しい人を見送る時には「お骨上げ」も儀式の中に含まれるのが当たり前の文化で生まれ育った私としては、うちの犬たちはああいう形で見送ることはできないかもなあと思うと、日本で愛犬のお骨を拾った経験を話してくれる友人たちが単純に羨ましいのです。

アメリカでの火葬の場合は「遺骨」というよりも「遺灰」という形になるのですが、この扱いについては日本との大変な文化の違いに驚いたことがあります。
犬ではなくて人間の話、アメリカ人である家人の母が亡くなって荼毘に付した時のことです。日本のように火葬場まで遺族が行くことはなく、葬儀社の人が遺体を引き取っていきました。家人に「遺灰はいつ受け取りに行くの?」と聞いたら「宅配便で送ってくれるよ。」と答えられて「えーーーーーーっ!!!」と心底びっくり仰天したものです。遺灰は2~3日後に一応化粧箱(しかし紙製)に入れられて、普通の宅配便の段ボール箱で届きました。
渡米以来最大とも言えるくらいのカルチャーショックに「日本では遺骨の扱いは亡くなった人の身体と同じでもっともっと丁寧なんだよ。灰ではなくて骨として形が残るように焼いて、それを遺族が専用の箸で陶器の壺に入れて、特別な織物のカバーをかけて持ち帰るんだから。」と言うと、今度は家人の方が「えーーーーーーっ!!!」と目を丸くして驚いていました。「骨になった家族を見るなんて悲しいし、ましてやそれを自分で壺に入れるなんて怖い!」と。
言われてみれば、なるほど確かに怖いかもしれないなあとも思いましたが、なんというカルチャーギャップだろうかと改めて驚いたのでした。

我が家の犬たちも10歳と9歳になり、かつて一緒に遊んだ犬友達の訃報を聞くことも多くなりました。散歩に行った公園などで飼い主さんたちと情報交換をする時にもペットの火葬サービスの話題が出ることもあります。
たいていの動物病院では、ペットの亡骸を引き取って火葬サービスの仲介をしてくれます。私も動物病院の待合室にいる時に、亡くなった愛犬を毛布でくるんで火葬の依頼をしに来た飼い主さんを見たことがあります。(その時待合室にいた飼い主さんたちが、私も含めて全員うっすらと涙ぐんでいたことをよく覚えています。)動物病院ではなく、ペット専門の火葬サービスの会社に直接連絡をして亡骸を引き取りに来てもらうこともできます。当然ながらアメリカでも亡骸の扱いは皆とても丁重にして下さいますが、ペットの遺灰は宅配便で届けられることがほとんどです。
他の飼い主さんたちと火葬サービスの話をした折に、日本では火葬場で見送ることも遺骨を迎えることも葬儀の一部なんだと言うと皆がとても驚きます。家人に話した時はややショッキングだったようなので、お骨上げの話は飛ばすことにしているのですが、それでも皆が驚くので、やはりこのギャップは一般的なもののようです。
もちろん愛犬の遺灰は皆さん大切に扱われていますし、プロセスの違いに文化の違いを見たという話でどちらが良い悪いということではありません。見送ったペットを愛おしむ気持ちは国が変われど同じです。

ありがたいことに我が家の犬たちはまだ元気なので、私も先のことを思って憂うということはないのですが、先に書いたように、最後の最後まで見送ることができる日本のやり方を、やっぱり自分にはしっくり来るなあと思います。
葬儀や様々な儀式というのは、旅立った者のためというよりも残された者の心の整理のために行われる部分が大きいと私は思っています。やがては来るであろう心の整理が必要な時、慣れ親しんだ文化に沿って行うことができたらいいのになあという思いと、「その時はその時。自分なりのやり方で心に区切りをつけるしかないさ。」という思いが心の中にあるのです。
折しもお盆も近く「あの子の魂が戻って来るなあ。」と感じていらっしゃる方も多いかと思います。これもまたキリスト教とは大きな宗教観の違いを感じる部分ですね。

生まれ育った文化とは違う場所で、犬たちを通して改めて感じる違いやギャップ。普段はあまり考えることのない、こんな意外な部分にもあるんだよというお話でした。



2019/01/08

「立ち止まって、肉球を嗅ごう」


2016年11月に書いた記事です。

dog actuallyに書いた記事の中ではちょっと異色のもので、ニコとニヤのことについて自分の思うところを書いたものです。SMILESブログよりもちょっと改まった感じですが、好きな記事のひとつでした。

本当は去年の11月に再掲載すればよかったのですが、あの頃いろんなことが重なって記念日のことをブログに書くことも、このブログも後回しになっていました。
そんな自分の余裕のなさに、ニコもニヤも自分も年をとったのだなあと、ここに書いてあることが尚更心にグッとのしかかってくる気がします。

だけど大丈夫!今日も元気に肉球を嗅ごう!






(以下dog actually 2016年11月14日掲載記事より) 

11月はわが家の犬たちの家族記念日月間だ。匹の犬たちはどちらも11月に家族に迎えた。
シェルター出身の保護犬であるうちの犬たちの正確な誕生日はわからないので、わが家にやって来た日は推定で決められた便宜上の誕生日よりも大切な日だ。
その記念日も今年は先住犬のニコが11回目、後から来たニヤが9回目を迎えて、重ねた月日の分だけズシリと重みを増してきた。


しみじみとありがたいことだと思うのだが、うちの犬たちは今のところ大きな怪我や病気をしたことがない。
だから差し迫った危機感とともに彼らを失う恐怖を感じたことはまだない。
それなのに心のどこかで漠然と「あとどのくらい一緒にいられるだろう」と逆算しているところがある。

思えば、11年前に推定生後6ヶ月のニコを迎えた時に「さあ、これから15年(いや18年くらい?いやいや20年でもいいな、なんて思いながら)責任重大だねえ」と家人と笑いあった時から、心のすみっこの逆算時計は動き出していたのだろう。

犬が若いうちは、そんな漠然とした思いなど気にも留めずに過ごしていたものだ。けれどこの数年のうちに、いつもの公園や散歩コースで知り合った犬たちの訃報を聞くことが増えていった。訃報だけでなく、病気の治療の話、手術や安楽死の決断などのシリアスな話題もよく耳にする。そんな時には「自分だったらどうするだろう?」と頭の中で様々なシミュレーションをして、真剣に考え込むことも多い。
訃報や闘病の話に触れて、自分に引き寄せて考える機会をもらうことは私にとってはとてもありがたいことだ。
何かしらの決断をして、その話をする飼い主さんを見ていると、愛犬のために真剣に考えて出した結論はどんな結果であれ正解なのだと思う。

他の人の経験に触れ、自分も大好きだった馴染みの犬たちが目の前からいなくなる経験を繰り返して、少しずつ心の準備が始まっている。
一方で、どんなに手を尽くしてもどんな選択をしても、犬たちを見送ったあとには必ず後悔が残ることもわかっているし覚悟もしている。

犬と暮らすことは、いつも心のすみっこで見送る時のことを考えて準備しながら生きているようだとよく思う。おかしな習慣だとも思うけれど、犬を残して自分が先に行くわけにはいかないので、それでいいのだ。

心のどこかでいつも見送る準備をしていると言っても、決して後ろ向きにウジウジしているわけではない。
記念日のズシリと来る重みも心地良く、犬と一緒に過ごす時間はどんな時も幸せだ。むしろ心の中の逆算時計のおかげで、今手の中にある幸せをいっそう強く噛み締めていられる。

Stop and smell the rosesという言い回しがある。直訳すると「立ち止まってバラの香りを感じよう」だが、「少し肩の力を抜いて、人生の美しい部分に感謝して楽しもうよ」という意味で使われる。
私にとってはまさに犬と過ごす時間を表すような言葉だ。

顔に白いものが目立ち始めた犬たちと過ごすなんでもない日常は、感謝して思い切り楽しむべき人生の美しい部分。

バラの香りよりも、ポップコーンみたいなあの匂いの方が幸せのイメージが強いのは犬バカゆえ。

「Stop and smell the paws 立ち止まって、肉球を嗅ごうよ。」

2018/08/30

犬に穀物、与えるべきか?避けるべきか?

(photo by beata_kom)


犬と炭水化物のことを書こうと思うので、それに先がけてdog actuallyに書いたことのある犬と穀物の記事を再掲載しておこうと思います。

ただ、この記事『穀物不使用』は『低炭水化物』という意味ではないことや、穀物不使用の『穀物』に含まれるものが何かということが抜けているので、下に記しておきます。


穀物不使用(グレインフリー)は一般的に、小麦・トウモロコシ・大豆を使っていないことを指す場合が多いようです。
プレミアムフードと呼ばれるものでは米・大麦・オーツ麦も穀物不使用に含むものが多いです。(むしろ含まないとおかしいですよね)

ただし上記の穀物を使っていないフードの場合、ヒヨコマメやタピオカ、イモ類を使っている場合が多いので、穀物不使用=低炭水化物ではありません。

もう一つ、グレインフリーと紛らわしいのが『グルテンフリー』
グルテンとは小麦・大麦・ライ麦などに含まれる植物性のタンパク質です。犬は小麦グルテンの消化酵素を持たない又は分泌が少ない個体も多いため、グルテンフリーのフードは一定の需要があります。
グルテン不耐性やアレルギー、自己免疫疾患の一種セリアック病がある場合にはグルテンは厳密に避けなくてはいけません。

一般的にグルテンフリーは上記の麦類(又はコーンと大豆グルテンも含む)を使用していないという意味です。
グルテンを含まない米を使っている場合もあるので、グルテンフリー=グレインフリー(穀物不使用)ではありません。


でもこの記事を書いた時、本当に言いたかったのは一番下の段落の内容だったんですよ。いろいろウンザリしてたんですよね。



(以下dog actually 2017年3月6日掲載記事より)

アメリカでは2月23日は『全国ドッグビスケットデー』なのだそうです。日本でも正式な祝日ではない『◯◯の日』がたくさんあるように、アメリカもほとんど毎日が何かしらの『全国◯◯デー』で、ドッグビスケットデーもそのひとつ。


ドッグビスケットデー自体にはたいした意味はなくて「今日は愛犬にビスケットをあげましょう」とか「愛犬のためにビスケットを作ってみましょう」という他愛のないものです。
1860年、商品としてのドッグビスケット(または元祖ドッグフード)がイギリスで初めて発売されましたが、特にこの日が2月23日だったということもないようです。
冒頭の写真は、去年のドッグビスケットデーに見つけたレシピで作ってみたビスケットです。
我が家の犬は小麦粉を多く取ると微妙に体調が悪くなるので、このビスケットは小麦粉は一切使わずオートミールで作っています。
若い頃は小麦を使ったクッキーでもパスタでも問題がなかったので、年齢とともに小麦グルテンの消化能力が落ちてきたのだろうと推測しています。

このドッグビスケットはとてもシンプルで簡単です。
材料は、オートミール300g、卵1個、無塩チキンスープ(鶏の茹で汁)130cc。

1.オーブンを170℃に予熱しておきます。
2.材料を大きめのボウルに入れてよく混ぜます。
混ぜた後5分ほど寝かせると、オートミールが水分を吸って粘り気が出てくるので、これを手でギュッとまとめます。
3.クッキングシートに生地を置き、上にラップを乗せてめん棒で5ミリ程度の薄さに伸ばし、型で抜くか包丁で切り目を入れます。
4.オーブンに入れて25分~30分焼いて出来上がりです。
チキンスープを水に代えてカツオ節を混ぜたり、スープではなくて無糖タイプの豆乳やココナッツミルクを使ったり、粗みじん切りのパンプキンシードやチアシードを混ぜたりと色々なアレンジも楽しめます。
日本の標準的な大きさのオーブンだと、半分の量の方が作りやすいかと思います。

さて、このように我が家では犬たちに日常的に穀物を与えています。お腹を下した時などは白米のおかゆや重湯を与えて回復を図るのもいつものこと。
けれど最近では巷のペット用品店の棚はGrain Free=穀物不使用をうたった製品が多くを占めています。特にプレミアムフードと呼ばれるものでは穀物不使用のフードが占める割合が高くて、店によっては穀物使用のフードを見つけるのが困難なほどです。

「少しでも愛犬の体に良いフードを」と考える人々の間では、なんとなく穀物は悪者という風潮がありますが、私自身は「それはちょっと極端すぎるんじゃないか?」と常々思っています。
犬は何万年にも渡って人間の残飯を分け与えられてきて、様々な種類の穀物も長年に渡って食べているはずなので、すべての犬に穀類がNGということはないはずだと考えるからです。
「犬はでんぷんを消化できない」という意見も時々見かけますが、犬は狼よりもずっと多くのでんぷん消化酵素の遺伝子のコピーを持つという研究も発表されており、犬は炭水化物を消化できるように進化してきたことが判っています。
我が家の犬たちは、ちょっと気を抜くとすぐに体重が減ってしまいます。与える肉類も適度に脂肪の付いたものを選んでいますが、穀類抜きでは理想体重の維持ができません。ですから我が家の犬については「穀物は与えるべき」と考えています。ただ、前述したように小麦はやや難ありなのでオートミールまたは白米、たまに豆類を選んでいます。小麦に含まれるグルテンは犬にとっては消化しづらい場合が多いので、与える場合は注意と観察が必要です。
シベリアンハスキーなど犬種によってはでんぷん消化酵素の遺伝子のコピーが少ない場合もあるので、彼らのような犬には『穀物不使用』のフードは身体に合う率が高いのでしょう。場合によっては穀類を避けた方が体調が良いということもあると思います。セリアック病やグルテン不耐性などの場合は、もちろん小麦などの穀類は避けなくてはいけません。
ペットフードの売り場で穀物不使用のフードが主流になっているからと言って「犬には穀類厳禁!」ということもないし、犬によって穀類の中でも合うものと合わないものがあるのも当然。犬種によっても個体によっても差があるし、すべての犬に当てはまる唯一無二の答えなどないということです。
大切なのは、自分の犬にとって一番良いものや方法がどれなのかは犬をよく観察して見極めること。
自分と違う選択をしている人が必ずしも間違っているわけではないと認識すること。
穀物のことだけに限らず食餌全般、ひいてはトレーニングからカラーやハーネスの選択、グルーミングや医療、すべてに言えることだと思います。
自分とは違うやり方に対して尊重する人が増えて(もちろん、命に関わることは話が別です。)犬を巡る社会が少し穏やかになればいいなあと考える今日この頃です。

2018/03/25

愛犬に寄る年波


先月からニヤの体調のことで気ぜわしい日々が続いて、自分が書いたこの記事のことを思い出していました。

「寄る年波って本当にそうだわ〜。なんか気がついたらものすごく潮が満ちて焦りまくってる気分。」と思いながら読み返して感慨にふけっていました。

2017年2月の記事ですからほんの1年ほど前のことなのですが、この後もっと頻繁にニコニヤのお腹の調子に悩まされることになるとは、この時は想像していなかったなあ。

幸いお腹の方は、野菜類に火を通すようにしてから落ち着いていますが、ニヤの関節炎や心臓肥大という別の「波」が来ているのは、ブログに書いている通り。

この文章はdog actuallyの記事としてはちょっと異色で、ニコのことを詳しく書いたものですが、SMILESのブログよりは少しあらたまった感じで自分でも好きなものです。

下のニコの写真は1枚目が2017年の2月、2枚目が今年のもの。
比べるとマズルが白くなっているけれど「なんだ、あんまり変わってないじゃない」と思ったのは悪あがきかな(笑)



(以下dog actually 2017年2月6日掲載記事より)








『寄る年波』というのは「年が寄る」と「波が寄る」をかけた言葉だそうだ。
 毎日の生活の中では変わっていないつもりでも気がつくと年を取ったなあと実感するあの感じは、じわじわと波が満ちてくる(あるいは引いていく)感じとよく似ていて、昔の人はうまいことを言うものだと感心する。
自分のこともそうなのだが、私が今ここで書いているのは、もちろんうちの犬のことだ。
うちのニコが先日お腹を下した。ただ下しただけなら1日ほど絶食して重湯に塩ひとつまみとカモミールをパラパラ入れたものだけ飲ませておけば、翌日にはたいてい治っているのだが、先日は下したところに結構な量の血が混じっていたので「これはすぐに病院に行かなくては!」と少し焦った。何しろ自分の犬が血便をしたなんて初めての体験だったもので。
血液検査も検便も特に異常は見当たらなくて、本犬も体はピンピン元気だったので「たいしたことはないでしょう」と抗生剤をもらって帰ってきた。
便も翌々日にはすっかり元に戻って「本当にたいしたことなかった......。」と拍子抜けしたのだった。
ニコは9歳あたりまでほとんど下痢をしたことがなかった。一度だけドッグパークで2匹のハウンドに挟み撃ちで襲われた日の夜にストレスからか下痢をしたことがあったが、それっきりだ(幸い大きな怪我はなかった。)
だが9歳になった頃から1年に1~2回はお腹が緩くなるようになってきた。昔は「鋼鉄の胃腸」なんて呼んでいたのだが、今はアルミの胃腸くらいになった感じだ。
思えば、10歳になった頃に「いよいよ本格的にシニアか」と思ったものの、運動量も食餌の量も変わらないし足腰の衰えなども全く感じないのでちょっと油断していたかもしれない。
1月の下旬は雨が多くて気温の低い日が続いていたので、体を温める食材を意識するとか小型のヒーターを出してくるとか気を配るべきだった。
今回は犬の神様が「ちょっと気持ちを引き締めるために赤いのを混ぜておこうか」と手配をしてくださったのだと思っておこう。
毎年冬の時期には体重が減りがちになるので食餌の量も調整するのだが、1日の絶食と翌日のお粥食で体重もまた減ってしまった!


当たり前だけれど、愛犬のことは毎日見ている。
何か変わったことがないかと目で見て手で触って匂いも嗅いで注意をしている。
だけど毎日見ているからこそ見落としてしまうこともあり得る。
加齢は『寄る年波』なのだ。波のようにジワジワと来るかと思うと、突然ザッパーンと来ることもある。

幸いブログを書いているおかげで、何年前のいつ体調を崩したかとか、その頃の外見はどんな風だったのかはいつでもすぐに見返すことができる。毎日の観察では気がつきにくい事柄を確認するためにも、意識して古い記録に目を通すようにしようと肝に銘じた。
ブログだけでなく、今は手軽に記録を残せるSNSもいろいろあるし、写真もスマホで気軽に撮影して整理しておける。そういう形で愛犬の日々を記録しておくことは健康管理の上でも本当にお勧めだ。何も公開して人に読んでもらう必要はない。写真を撮って、気がついたことや起こったことを箇条書きで書いておくだけでいい。
愛犬の毎日の記録はそういう実用的な意味合いもあるのだが、私はこれを「老後の楽しみ」とも呼んでいる。
いつか自分がもっと年をとった時に、ニコやニヤと過ごした時間をゆっくりと味わうための記録でもある。犬と自分、両方に寄ってくる年波とうまく付き合っていくために今日もいそいそと記録をつけていこう。

2017/08/20

God Made a Dog


dog actuallyの過去記事を再掲するというこのブログも、最近は更新が遅くて面目無いしだいです。

このGod Made a Dogの記事はちょっとした息抜き記事としてアップしたのですが、自分でもなかなか気に入っているもののひとつです。

このビデオを見るたびに「犬って本当に可愛いよなー」としみじみ胸を熱くしております。


(以下dog actually 2015年2月22日掲載記事より)

今年の2月、アメリカの国民的スポーツ行事・スーパーボウルの時に流れるテレビCMで、クライスラー社が「God Made A Farmer(神は農夫を創られた)」をテーマに自社トラックのコマーシャルを放送しました。このCMはたいへん好評で話題になったのですが、その10日ほど後にそのスタイルを真似た形で「God Made a Dog」というビデオが作られ、Youtubeにアップされました。
ビデオは6月の下旬にインターネット新聞のハフィントンポストで紹介されたのをきっかけに、ツイッターやフェイスブックなどSNSで爆発的に広がり大人気となりました。
犬を愛する人なら必ずやクスッと笑った後、ジーンと胸が熱くなるこのビデオ、まずはご覧くださいませ。




ナレーションの日本語訳は以下の通りです。
-------------------------------------------------------------------------------
そして9日目に、神は自らが創造された純真な目の子供らを見下ろし、こう言われた。
「あの者達には友が必要じゃ」
そこで神は犬を創られた。
神は言われた。
「朝には喜んで飛び起きてキッスの雨を降らし、
樹の根元にシッコを引っかけて、1日中眠りこけ、
また起きてまたキッスの嵐、
そしてテレビの光を浴びながら真夜中までも起きている。
そういう者が必要じゃ」
そこで神は犬を創られた。


神は言われた。
「自ら進んでオスワリをして次はマテ、
それからゴロンとでんぐり返り。
広い心で、必要の無い帽子をかぶせられても、
わけの分からない衣装を着せられても文句も言わぬ、
そういう者が必要じゃ。
気にすることも考えることもなく屁を放ち、
尻尾をクルクル追いかけて、
股ぐらをフンフン嗅ぐ。
棒をくわえて持って来て、
ペロッとなめて元気をくれる、
そういう者が必要じゃ。
そなたが何も成さなかったとしても、
何も得られなかったとしても、
勝利を収めなかったとしても、
成功しなかったとしても、
そんなことまるで気にせず評価することもなく、
ただいつもと同じように愛してくれる、
そういう者が必要じゃ。」

そこで神は犬を創られた。

神は言われた。
「橇を引いて走るほどに、
爆弾を探し出すほどに力強く、
それでいて赤子を愛し、
盲人を導くほどに心優しい、
そういう者が必要じゃ。
心が傷ついた時にはそっと頭をもたせかけ、
優しい瞳で慰めながらソファーの上で何もせずに1日中付き合ってくれる、
そういう者が必要じゃ。」
そこで神は犬を創られた。
(photo by skeeze )


「たとえ孤独の中にあっても、
我慢強く忠実な、
そういう者でなくてはならぬ。
いつもそなたを気にかけ、寄り添い、
鼻を押し付け、元気づけ、心鎮め、
イビキをかき、ヨダレをたらし、
ゴミを漁り、リスを追いかける、
そういう者が必要じゃ。
明るい無私の心で家族をひとつにする、
そういう者が必要じゃ。
一番の親友が「ドライブに行こうか」と言うと
ワンワン吠えてハアハア息を切らし、
尻尾をブンブン振って返事をする、
そういう者が必要じゃ。」
そこで神は犬を創られた。
(photo by TessDeGroot )

-------------------------------------------------------------------------------
いかがですか?
少し解説を付け加えますと、このナレーションの下敷きになっている「God Made A Farmer」というのは、1978年に大規模な農業のコンベンションにおいて、当時の人気ラジオパーソナリティーだったポール・ハーヴェイ氏が行ったスピーチです。聖書の第一章「創世記」の中で1日目~6日目に神が光や天地や人間を創造され、7日目に休息を取られたという説話を基に、「そして8日目に神は自らが創造された大地を見下ろし、これを世話する者が必要だと言われた。そこで神は農夫を創られた。」というフレーズで始まったスピーチで、農業に従事する人々を讃えるものでした。犬の讃歌であるこのビデオは、農夫に続いて神が創造されたのは犬であるということで、「そして9日目に」で始まっているというわけです。
さて、良かったらもう一度、ビデオを見返して愛犬のそばに腰を下ろしてみて下さい。目尻を下げて「もう、まったく犬ってやつは」って笑いたくなったり、愛犬を抱きしめたくなったり(こういう場合、たいてい犬は迷惑そうですが 笑)、優しい気持ちになっていらしたら幸いです。

2017/05/28

 純血の雑種犬ジェニー

友人の愛犬ジェニーのことを書いた懐かしい記事。
ジェニーの飼い主のジョージさんは正確には友人のパートナーだった人なんです。この記事から数年後に二人はお別れしてしまって、私たちはジョージさんに会うことがなくなってしまいました。
だからジェニーにも会う機会はもうないので、余計に感慨深い記事でもあります。
愛すべき犬バカでジェニーを溺愛しているジョージさんなので、今もきっと一人と一匹は幸せでいることと思います、

(以下はdog actually 2011年8月1日掲載記事より) 

赤茶色のコート、中型サイズ、黒っぽい鼻先のジェニーは、どこからどう見ても由緒正しき立派な雑種犬です。1年半前、シェルターから彼女を引き取った飼い主のジョージさんは、彼女のことを愛情を込めて「Pure Breed Mutt=純血の雑種犬と呼んでいます。 ジェニーを引き取った直後、ジョージさんは彼女のDNA分析のテストを受けてみることにしました。方法は簡単。ペット用品店やペット関連の通信販売サイトなどで検査キットを購入して、綿棒で頬の内側の粘膜を拭って、専用のケースに入れて郵送するだけ。しばらくするとラボから検査結果が立派な証明書になって送り返されて来ます。 さて、ジェニーの検査結果は思わず笑ってしまうほど「純血の雑種犬」の名に相応しいものでした。
これがその結果。
いかがですか?ペキニーズ、シーズー、ラブラドール、ニューファンドランド、ロットワイラー、チワワ、イングリッシュスプリンガースパニエル、堂々たるミックスぶり!
ジョージさんがシェルターに足を運んだ時、ジェニーのようなタイプを連れて帰って来るとは予想をしていませんでした。ジェニーの先代のブラックラブラドールを深く愛していた彼は「できればラブラドールを」と希望しており、シェルターのスタッフは彼に何頭かのラブラドールミックスと称される犬を紹介しました。「アメリカの雑種犬、その血統ランキングは?」の記事にもあった通り、アメリカでよく見かけるのはラブラドールミックスとジャーマンシェパードミックス。シェルターでも最もよく目にするのが、この2犬種の名前です。連れて来られた犬の中の一頭ジェニーを見て、ジョージさんは正直がっかりしたと言います。
「これはラブラドールじゃないよ。」確かにジェニーの姿を見てラブラドールを連想するのはちょっと難しい。 しかもその頃のジェニーは体高40cmほどの中型犬だというのに体重が23kgもあったのです。 
これがジョージさんの家に来たばかりの頃のジェニー。
しかしシェルターのスタッフからジェニーのストーリーを聞かされたジョージさんは、この犬を連れて帰らずにはいられなくなりました。
ジョージさんはジェニーにとって3番目の飼い主になります。何があったのかはわかりませんが、最初の飼い主はジェニーをシェルターに連れて行きました。そこで2番目の飼い主に出会ったものの、ジェニーを待っていたのは1日12時間の留守番の日々でした。散歩に行くこともなく、その家の裏庭がジェニーの世界の全てでした。そして2番目の飼い主が結婚することになり、婚約者が犬が嫌いだということでジェニーは元居たシェルターに戻されて来てしまったのです。
ジョージさんは「これ以上この犬に"誰も自分と一緒に暮らしたくないんだ"と思わせたくなかったんだよ」と笑います。こうしてジェニーはジョージさんの家族になりました。23kgあった体重は13kgの適性体重になり、今では引き締まったウエストとツヤツヤのコートで広い庭を走り回るジェニー。 
「先代のブラックラブは本当にスイートで良い犬だった。ラブラドールという犬種の良いところを全て持っているような犬だったんだ。僕は純血種の犬も大好きだよ。犬種特有の美しさだとか気質だとか、人がそういうものに惹かれる気持ちがよくわかる。でもジェニーのような犬とつき合うのもまた何とも言えず楽しいね。それに犬がくれる愛情は犬種にかかわらず、みんな一緒だからね。」
そう言って笑ったジョージさんの優しい笑顔が印象的でした。



2017/05/24

優良犬市民検定(ゆうりょういぬしみんけんてい)

初出はdog actually 2011年5月9日。日本でもグッドシチズンテストという名前で同様のテストがあることを知ったのは、この記事を書いた後のことでした。

日本でのテストは社団法人優良家庭犬普及協会が運営する認定試験で、日本の家庭犬向けにアレンジされています。

テーマに選んだCANINE GOOD CITIZEN TESTのことを知ったのは自分のブログであるSMILES@LAでも紹介したジム・ゴーラント著The Lost Dogsを読んだのがきっかけ。
本の主人公である、マイケル・ヴィックの元から保護されたピットブルたちが一般家庭に譲渡されるための条件のひとつが、このテストに合格することというものでした。
ちょっと本題から逸れてしまうけれど、このThe Lost Dogsは私の中のベストのひとつで、dog actuallyの記事を書く上でも大きな影響をくれた一冊です。


(以下、dog actually 2011年5月9日掲載記事より)


本日のタイトル、「なんだそれは?」と思われたかもしれませんね。これは私が勝手につけた日本語訳で、今日ご紹介しようと思うCANINE GOOD CITIZEN TEST(CGCテスト)のことです。
CGCテストは、アメリカンケネルクラブ(AKC)が「全ての犬が地域に受け入れられるための良いマナーを身につけられるように」という目的で作ったプログラムの一環です。犬の飼い主にとっての躾や訓練の指針となり、犬がどのように振る舞うべきかの基準となっています。
テストを受けるためには、AKCが開催するCGCテスト対策教室に参加してトレーニングを受けるか、しかるべきトレーナーについて訓練を受けます。 飼い主さん自身にスキルがあれば、自分で訓練をしてもかまいません。そうしてテストを受ける準備が整ったと思ったらAKCに受験の申し込みをします。テス トは会場に集まって行われる場合もあれば、試験官が公園等の指定の場所に出向いて来てくれて個別に行われる場合もあり、地域によって様々です。テストに合 格すれば、立派な合格証書が送られて来ます。
このCGCテストは色々な場面で、犬の行動と飼い主の資質を判断するための基準に使われていま す。例えば、多くのセラピードッグの訓練団体は訓練を受けるための前段階として、CGCテストに合格していることを条件にしています。またアパートなどの 集合住宅で犬を飼う場合、CGCテストに合格している犬のみOKという例もあります。持ち家の住宅保険でもテストに合格していれば保険料の割引があるとい う会社もあるようです(ただし、これらのアパートや住宅保険に関してはかなり進歩的な例です。実際には単純に犬種によって入居を断られたり、保険加入を断 られたりする例も多々あります)。
これら民間の事柄だけでなく、公的機関でもこのテストを犬を判断する際の基準に取り入れています。例をあ げれば、2007年に全米を驚愕させたNFLのスター選手マイケル・ヴィックが違法闘犬と動物虐待で逮捕された事件で、保護された元闘犬達を保護団体から 一般家庭に譲渡する際、裁判所から出された条件として、CGCテストに合格させることというものがありました。このテストはそれほどに信頼され、権威のあ るものなのです。
試験の内容を具体的に紹介しましょう。日本で犬と暮らしている方々にも参考になる部分が多くあるかと思います。
まず、テストを受ける前に飼い主さんは「責任ある飼い主としての誓約書」にサインをしなくてはなりません。飼い主としての責任は、犬を家族に迎えるという気持ちを持ったところからもう始まっています。
誓約書の内容は次のようなものです。

私は下記のことを含む犬の健康に関して責任を持ちます

  • 定期的な健康診断とワクチン接種
  • 適切な栄養の食餌と清潔な水
  • 毎日の運動と定期的な入浴やグルーミング

私は犬の安全に関して責任を持ちます

  • 適切な高さのフェンス等で犬を管理し、公共の場ではリードを使い、自由に走り回らせることはしません
  • IDタグ、タトゥー、マイクロチップなどで犬の身元が確実にわかるようにしておきます
  • 犬と子供が同席する場合には常に監視下に置くようにします

私は自分の犬が他者の権利を侵害することを看過いたしません

  • 近所を自由に走り回らせることはしません
  • 庭やホテルの部屋などで他者の迷惑となる吠え行為をさせません
  • ホテル、路上、公園等公共の場では必ず犬の排泄物を拾い、処理します
  • ハイキングエリア、キャンプ場など自然環境の中においても必ず犬の排泄物を拾い処理します

私は犬の生活の質に関して責任を持ちます

  • 基礎的な訓練は全ての犬にとって利益をもたらすことを理解します
  • 自分の犬に適切な配慮と遊び時間を確保します
  • 犬を飼うということは時間と手間をかける義務と覚悟が必要なことを理解します


そしてテストの内容は以下の通り。全てのテストはオンリードで実施されます。
テスト1:好意的な他者を受け入れること
他者が日常的なシチュエーションでハンドラー(飼い主)に話しかけて来る事を受け入れるか。
テスト2:静かに座って撫でられること
ハンドラーと一緒にいる時に、好意的な他者に撫でられる事を受け入れるか。
テスト3:検査やグルーミング
獣医師やグルーマー等から検査やグルーミングを受ける事を進んで受け入れるか。
テスト4:屋外での歩行
短距離の歩行で、リードが弛んだ状態で犬をコントロールして歩く事ができるかどうか。
テスト5:人混みでの歩行
最低3人以上の人間が立っている場所を、静かにコントロールされた状態で歩く事ができるかどうか。
テスト6:座れと伏せのコマンドとその場で停止すること
ハンドラーの座れと伏せのコマンドに従うことができるか。さらにハンドラーの指示でそのままの姿勢で停止することができるか(停止は座れでも伏せでも、どちらでも良い。)
テスト7:呼ばれれば来ること
約3m離れた所からハンドラーに呼ばれた時に、ハンドラーの所に来る事ができるか。
テスト8:他の犬に対しての反応
他の犬に対して礼儀正しく振る舞う事ができるか。
テストは2組の人/犬のチームが、約6m離れたところで人間同士が互いに手を振り挨拶を交わす。同様に約3mの距離でも同じ事をして犬の反応を見る。
テスト9:騒音などに対しての反応
試験官が2種類の騒音や状況を選んで、犬が怯えたりパニックになったりせずに平静でいられるかを観察する。騒音の例は太い鎖を地面に落とす音、犬の横で台車を押す、杖を倒す音、また時には犬の側で人間がジョギングをして反応を見る事もある。
テスト10:飼い主以外の信頼できる人間といる時の態度
試験官がハンドラーから犬を預かりリードを持った状態で、飼い主は犬の視界から3分間姿を消す。その間静かに礼儀正しく待っていられるかどうか。
飼い主心得と言い、テストの内容と言い、これらが全て実践されていたら素晴らしいだろうなあと軽くため息が出ます。つまり、実際のアメリカの犬事情も決して理想的とは言えないわけです(少なくとも私の知っている限りでは。郊外の住宅地である我が家の近所はザッと見た感じで6-7割の家が犬を飼っているように思いますが、きちんと犬をコントロールして歩いている飼い主さんは大体半分くらい。統計をとったわけではなくて、私が日々感じているだけですが)。
せっかくの良いプログラムなので、必ずしもテストを受けなくても、この精神がもっと普及すれば良いなと願う次第です。

災害に備えて愛犬のために準備しておくべきこと

これは私がdog actuallyに書いた一番最初の記事です。初出は2011年4月11日。東日本大震災のすぐ後でしたので、テーマも「災害に備えて」というものになりました。2017年現在もカリフォルニアで災害が起きた場合の対応に大きな変更はありません。
愛犬のために準備しておくことについては、よく「普段からクレートトレーニングなどで、非常時にもきちんと振る舞える犬にしておくこと」と言われているのは確かにその通り。この記事では物質的なことしか書いていませんが、災害という非常時に飼い主も恐怖や不安でいっぱいいっぱいの中、いくら普段からトレーニングしていても動物がどれだけ落ち着いていられるか、難しいところです。だからこそ余計に物質的な準備を万全にしておくことで助かる部分も大きいのではないかと思います。
(以下、dog actually 2011年4月11日掲載記事より)



今回の東日本大震災は世界的にも未曾有の大惨事として、各国で大きく報道されていることは皆さんご存知の通りです。ここアメリカでも地震や津波そのものや、原発の事故への関心とはまた別に、人々や動物達のことに関しても「ひとごとではない」という空気が感じられ、そのような報道も目につきます。ロサンゼルスタイムスでも3月30日付けで「被災後のペット救援活動」という見出しで、愛犬と再会した被災者の方のインタビューや、救援活動に当たっている動物保護団体のことが紹介されていました。
動物と暮らしている人々も改めて「万が一に備えておかなくては」と気持ちを新たにしている感じが伺えます。大きな災害に備えてのアメリカの自治体の準備態勢や、個人で準備しておくべきことなど、紹介させて頂きます。
例えば私の住むカリフォルニア州で、大きな災害が起こった場合。
州政府はCalifornia Animal Response Emergency System(CARES)という、指示体系や協力機関を定めたシステムを構築しています。緊急災害時の動物達に関しては、基本的には州内の各自治体が処理をします。「自治体の動物管理局」「自治体の緊急対策本部」「獣医師ボランティアによる対策委員」が3本柱となって家畜やペット動物の避難、預かりなどの問題に当たっていくのですが、郡などの自治体だけでは対処しきれない場合にCARESに協力を要請することとなります。
CARESではThe Humane Society of U.S(米国動物愛護協会)、Emergency Animal Rescue Service(緊急時動物レスキューサービス)などのNPO団体とも提携して、緊急災害の時の動物医療や一時預かりに関するシステムを準備しています。
カリフォルニアでは大きな地震は1994年以来起こっていませんが、非常に大規模な山火事はほぼ毎年のように起こっています。そのような時に避難勧告の出された地域に対しては、家畜やペットの一時預かりの場所が公にアナウンスメントされます。
テレビやラジオのローカルニュースで、○○地区の犬や猫は○○シェルターへ、××地区の馬は××シェルターへ、と言った情報が繰り返し放送されるという具合です。
また家畜やペットのオーナーである一般市民への教育活動もCARESの重要な仕事の1つです。参考になる点もあるかと思うので、CARESが出している「災害に備えての心得」をここに記しておきます。
  • 自然災害などの際、避難勧告その他の情報を的確に得る方法を普段から調べておく
  • かかりつけの獣医師、場合によっては地元議員などと、避難や緊急時の動物の世話に関して日頃から相談しておく
  • 地元のアニマルシェルター、ケンネル、農場などの位置を把握しておく(もしくは動物と一緒に宿泊できるホテルなどを日頃から調べておく)
  • 動物保護のNPO団体や施設の方針を調べ、連絡先も含めて把握しておく
  • 自分が家にいなかった場合に備え、近所の人や友人と緊急時の動物の避難について打ち合わせておく
  • 動物は必ず自治体に登録しておくこと(日本で言う所の鑑札ですね)
  • マイクロチップ、IDタグなどで動物の身元が明らかになるようにしておく
  • 万一動物とはぐれた際に、オーナーであることを証明するため動物と一緒に写っている写真を撮っておく(写真はオンラインアルバムなどにも保存しておくとより良い)
  • 動物用緊急持ち出し荷物を準備しておく
もうひとつ、ASPCA(全米動物虐待防止協会)が呼びかけている「災害に備えての心得」も付け加えておきます。
ASPCAでは家の外の良く見える場所にこのようなステッカーを貼っておくことを勧めています。「この家の中には犬が○匹います。緊急時には救出して下さい。」と書いておき、消防隊や救出隊の人がわかるようにしておくものです。

そして「動物用緊急持ち出し荷物」の中身はこちら。
  • ペット用の救急医療セットとガイドブック。常備薬がある場合は2週間分
  • 3-7日分のペットフード。水がなくてもしのげるように缶タイプが望ましい
  • ペットシーツとペーパータオル
  • 除菌石けん
  • 排泄物処理用の袋
  • 食餌用の食器
  • 予備のハーネスとリード(安全性と確実性でカラーよりもハーネスが望ましい)
  • 医療記録のコピー
  • 7日分の水
  • ペット運搬用のキャリーバッグ、クレートなど
  • 毛布
  • 犬用のおもちゃ
これらの他に人間用の緊急荷物も準備しておきます。たいへんだけれど「備えあれば憂い無し」準備をしておくと心に余裕が生まれます。犬にとって何よりも大切なのは、飼い主の「心の余裕」ですものね。

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