今年の3月、チャンピオンペットフードというメーカーが消費者から集団訴訟を起こされたとのニュースが報道されました。
チャンピオンペットフードと言われてもピンと来ないかもしれませんが、プレミアムフードの『オリジン』と『アカナ』のメーカーと言うと「あ〜、あの......えっ!?」という反応になる方も多いのではないでしょうか。
高品質でこだわりの原材料のフードとして、愛犬のために吟味を重ねる飼い主さんが選ぶタイプのフードですから驚きますよね。
最初に、この訴訟とフードについて私の個人的な意見を述べさせていただくと
「私がこのフードを買っていたとしたら、この訴訟のことはそれほど気にしないし、これからも買い続けると思う」です。
今このフードをお店で買ってきてうちの犬たちに食べさせられるか?と聞かれたら「余裕で食べさせられる」と答えます。
では、以下に詳しい背景をご紹介していきます。
チャンピオンペットフードが訴えられた理由
そもそもチャンピオン社はどんな理由で訴えられたのでしょうか?
最初に訴えを起こしたのは3名の消費者で「チャンピオンペットフード社の製品であるオリジンとアカナのドッグフードにはヒ素・水銀・鉛・カドミウムなどの有害な重金属と、内分泌かく乱物質であるビスフェノールAが含まれている。同社のフードは新鮮で自然な原材料を使用しているという虚偽の表示をしている。」というのが訴訟の理由です。
原告のうちの一人は「過去4年間オリジンまたはアカナのフードを愛犬に食べさせていたが、具合が悪くなった」と述べています。(ただし具体的な病名や医療記録は提出されていない。)
「最初に訴えを起こした」と書いた通り、その後も同様の内容で別の消費者グループからも訴訟が起きています。いずれもペットの具体的な健康被害の内容は示されていません。
(オリジンやアカナの製品が原因と思われる健康被害の報告もありません。)
(オリジンやアカナの製品が原因と思われる健康被害の報告もありません。)
一番新しい訴訟は6月にファイルされたもので「高品質のプレミアムフードだと宣伝されていたから高い価格でも購入したのに、虚偽の表示をしていたとのことなので弁済して欲しい」という内容です。(「え?マジっすか?」って思いますよね。)
ここで覚えておきたいのは「訴訟は誰でも起こすことができる」ということです。
訴訟のベースになっている数字はどこから?
訴えの内容が書かれた訴状には、オリジンとアカナの製品それぞれに含まれるとするヒ素、水銀、鉛、カドミウム、BPAの数値を一覧にしたものが添付されています。
フードに含まれるそれらの重金属とやホルモン様物質の数値が訴訟の理由になっているわけですが、全ての数字は米国食品医薬品局が安全基準として定めている「これ以上含まれると安全ではない」という数値を大きく下回っています。
例えば、ヒ素は米国政府が定める安全基準の数値は食品1kgあたり12.5mgが上限とされていますが、チャンピオン社の製品の平均値はフード1kgあたり0.89mgでした。
カドミウム は安全基準が1kgあたり10.0mg、チャンピオン製品平均1kgあたり0.09mg
鉛は安全基準が1kgあたり10.0mg、チャンピオン製品平均1kgあたり0.23mg
水銀は安全基準が1kgあたり0.27mg、チャンピオン製品平均1kgあたり0.02mg
BPAについては、缶詰フードから検出されるならわかるのですが、訴訟の対象になっているドライフードから検出されるのは考え難く、???な部分です。
これらの数値を測定したとされるのはクリーンラベルプロジェクトというNPO団体です。
この団体は、同じ名前のウェブサイトで独自に行なった様々な製品の検査をベースにして、星の数でレーティングを行なっています。
このレーティングについては、今回の訴訟問題以前からペットフード関連の有名Webサイトや、さらには経済誌フォーブズなどでも判定基準の不透明さや不可解さが疑問視されていました。
どのくらい不可解かというと、クリーンラベルプロジェクトにおいてはピュリナのドッグフードのほとんどに最高評価の5つ星がついています。
原材料一覧を見たらため息しか出ないような、ピュリナブランドの中でも最安ランクの製品も星5つ。
そしてこのサイトで最低評価の1つ星には、アカナとオリジンのほとんどの製品、ロータス、GO!、HALOなど、通常のペットフード評価サイトで最高ランクの常連のブランドが並びます。
同サイトのレビューはこちらで見ていただけます。
そしてその評価の根拠となっている「独自に行なった調査の数値」は一切公開されていません。そこが他社数社から不透明さを指摘されている所以ですね。
つまり、オリジンとアカナの製品についての訴訟の根拠になっている数字の出どころが信頼の置けるものとは思えないのが、一番最初に書いた私の個人的な意見の理由です。
ちょっと長くなりそうなので、製品中の重金属についてや、チャンピオンペットフードの対応や声明、消費者が企業を相手取って行う訴訟についてなど、明日続きを書きます。
訴訟全文はこちら
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