2017/05/24

災害に備えて愛犬のために準備しておくべきこと

これは私がdog actuallyに書いた一番最初の記事です。初出は2011年4月11日。東日本大震災のすぐ後でしたので、テーマも「災害に備えて」というものになりました。2017年現在もカリフォルニアで災害が起きた場合の対応に大きな変更はありません。
愛犬のために準備しておくことについては、よく「普段からクレートトレーニングなどで、非常時にもきちんと振る舞える犬にしておくこと」と言われているのは確かにその通り。この記事では物質的なことしか書いていませんが、災害という非常時に飼い主も恐怖や不安でいっぱいいっぱいの中、いくら普段からトレーニングしていても動物がどれだけ落ち着いていられるか、難しいところです。だからこそ余計に物質的な準備を万全にしておくことで助かる部分も大きいのではないかと思います。
(以下、dog actually 2011年4月11日掲載記事より)



今回の東日本大震災は世界的にも未曾有の大惨事として、各国で大きく報道されていることは皆さんご存知の通りです。ここアメリカでも地震や津波そのものや、原発の事故への関心とはまた別に、人々や動物達のことに関しても「ひとごとではない」という空気が感じられ、そのような報道も目につきます。ロサンゼルスタイムスでも3月30日付けで「被災後のペット救援活動」という見出しで、愛犬と再会した被災者の方のインタビューや、救援活動に当たっている動物保護団体のことが紹介されていました。
動物と暮らしている人々も改めて「万が一に備えておかなくては」と気持ちを新たにしている感じが伺えます。大きな災害に備えてのアメリカの自治体の準備態勢や、個人で準備しておくべきことなど、紹介させて頂きます。
例えば私の住むカリフォルニア州で、大きな災害が起こった場合。
州政府はCalifornia Animal Response Emergency System(CARES)という、指示体系や協力機関を定めたシステムを構築しています。緊急災害時の動物達に関しては、基本的には州内の各自治体が処理をします。「自治体の動物管理局」「自治体の緊急対策本部」「獣医師ボランティアによる対策委員」が3本柱となって家畜やペット動物の避難、預かりなどの問題に当たっていくのですが、郡などの自治体だけでは対処しきれない場合にCARESに協力を要請することとなります。
CARESではThe Humane Society of U.S(米国動物愛護協会)、Emergency Animal Rescue Service(緊急時動物レスキューサービス)などのNPO団体とも提携して、緊急災害の時の動物医療や一時預かりに関するシステムを準備しています。
カリフォルニアでは大きな地震は1994年以来起こっていませんが、非常に大規模な山火事はほぼ毎年のように起こっています。そのような時に避難勧告の出された地域に対しては、家畜やペットの一時預かりの場所が公にアナウンスメントされます。
テレビやラジオのローカルニュースで、○○地区の犬や猫は○○シェルターへ、××地区の馬は××シェルターへ、と言った情報が繰り返し放送されるという具合です。
また家畜やペットのオーナーである一般市民への教育活動もCARESの重要な仕事の1つです。参考になる点もあるかと思うので、CARESが出している「災害に備えての心得」をここに記しておきます。
  • 自然災害などの際、避難勧告その他の情報を的確に得る方法を普段から調べておく
  • かかりつけの獣医師、場合によっては地元議員などと、避難や緊急時の動物の世話に関して日頃から相談しておく
  • 地元のアニマルシェルター、ケンネル、農場などの位置を把握しておく(もしくは動物と一緒に宿泊できるホテルなどを日頃から調べておく)
  • 動物保護のNPO団体や施設の方針を調べ、連絡先も含めて把握しておく
  • 自分が家にいなかった場合に備え、近所の人や友人と緊急時の動物の避難について打ち合わせておく
  • 動物は必ず自治体に登録しておくこと(日本で言う所の鑑札ですね)
  • マイクロチップ、IDタグなどで動物の身元が明らかになるようにしておく
  • 万一動物とはぐれた際に、オーナーであることを証明するため動物と一緒に写っている写真を撮っておく(写真はオンラインアルバムなどにも保存しておくとより良い)
  • 動物用緊急持ち出し荷物を準備しておく
もうひとつ、ASPCA(全米動物虐待防止協会)が呼びかけている「災害に備えての心得」も付け加えておきます。
ASPCAでは家の外の良く見える場所にこのようなステッカーを貼っておくことを勧めています。「この家の中には犬が○匹います。緊急時には救出して下さい。」と書いておき、消防隊や救出隊の人がわかるようにしておくものです。

そして「動物用緊急持ち出し荷物」の中身はこちら。
  • ペット用の救急医療セットとガイドブック。常備薬がある場合は2週間分
  • 3-7日分のペットフード。水がなくてもしのげるように缶タイプが望ましい
  • ペットシーツとペーパータオル
  • 除菌石けん
  • 排泄物処理用の袋
  • 食餌用の食器
  • 予備のハーネスとリード(安全性と確実性でカラーよりもハーネスが望ましい)
  • 医療記録のコピー
  • 7日分の水
  • ペット運搬用のキャリーバッグ、クレートなど
  • 毛布
  • 犬用のおもちゃ
これらの他に人間用の緊急荷物も準備しておきます。たいへんだけれど「備えあれば憂い無し」準備をしておくと心に余裕が生まれます。犬にとって何よりも大切なのは、飼い主の「心の余裕」ですものね。

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